Ge男

地理をエンタメに!地域の事象や旅について語る

地理学科卒 28歳会社員が行く京都1泊 4

烏丸御池イノダコーヒで最高の朝食を頂いたあといったんホテルへ。

 

家族5人が乗れるタクシーが捕まるか不安になりながらも、奇跡的に流しのワゴンタイプに乗車することができ移動開始。前日にMKタクシーを予約しようと電話をしたが、翌日の配車は全て埋まっているとのことで、需要のひっ迫具合を垣間見た。

当初、二条城を見学する予定だったが誰かの「前に行ったことがある」という一言で取りやめになり、何回もいった金閣寺へ行くことになった。金閣寺まではメーター料金で4000円近くになり、思いのほか遠い。周辺に鉄道駅が少なく、超絶有名な観光地ながら以外とアクセスが難しいのである。京都駅発の市バスを利用していった際もバス停から少し歩いた記憶がある。

平日ながら、インバウンド客と修学旅行生が一堂に集い順路がなかなか進まない。6月といえど30℃近くまで気温が上がっていたので、祖母を休ませるためにいったん団体バス駐車場横のベンチに腰掛けた。

毎度のごとく、拝観券の代わりのお札をもらい敷地へ。

途中ド定番のベスト撮影スポットがあり、そこでまた流れが止まる。

ちょっと待てば意外と苦労することなく写真を撮ることができ、祖母とのツーショットを取ってもらえるくらいの余裕があった。f:id:shidare225:20240211150246j:image

足元がいいとはいえない順路を、人ごみの中歩いていく。前回金閣寺を訪れた時は緊急事態宣言下、観光客もまばらで雪が舞うような天気だったので、そのギャップに驚いてしまった。

帰路だが、タクシー乗り場の縄張りのようなものがあり、流しのワゴンタイプを泣く泣く見送った。乗客にとってメリットのない乗車方法の強制はなんとかならないものだろうか。しばらく待っても希望の大きさの車が来ないため、仕方なくバス停まで歩いた。

京都駅はポルタ地下街のうどんとそばの店で昼食をとり、早い時刻の新幹線に乗る叔母夫妻、祖母と解散。

母がかねてから希望していた錦市場へ行ってみることにした。

地下鉄烏丸駅から阪急河原町駅まで続く長い地下通路を通り、大丸の土産物コーナーから地上へ出る。

休日の小町通りだな」という感想がこぼれ出た。狭い路地に商店がひしめき、観光客でごった返す様子は鎌倉の小町通りそのものであった。

何軒か冷やかした後、漬物店でお土産を購入。新幹線の時間が迫っていた母に「間違って阪急に乗らないように」とくぎを刺し見送った。

私はあと3時間くらい滞在時間が残っていたので、京都が誇る名サウナ「梅湯」へ向かう。急いで河原町駅のバス乗り場に向かうもののタッチの差で逃してしまう。しかし心配することなかれ、すぐに次のバスが来てくれた。

余談だが京都市バスは乗降時、独自の乗降促進メロディーを流すのだが、それを聞くと「自分は京都にいるのだな」実感する。実際のところ、接近音やドアチャイムといったなにげない「音」の効果は絶大で、旅情に彩りを添える。

10分程揺られ、バス停を降りる。場所でいうと鴨川近く七条に位置し、京都駅から1キロくらいの立地。14~26時営業なので、帰りの新幹線に乗る前の〆にちょうどいい。f:id:shidare225:20240211150511j:image

昔ながらの銭湯系のサウナで、大人490円(貸しタオル別50円)という破格で、常連さんで賑わう名湯である。受付にはサウナグッズ(梅湯と書かれたキャップがかっこいい)や豊富なドリンクが並び、常連、観光客、外国人と分け隔てなく愛される理由が分かった気がした。

肝心のサウナ室は狭いものの湿度、温度は十分。ドアの開閉が多いく熱すぎないので初心者にも来てほしい。肩までつかる深い水風呂と滝水で一気に整いへ向かう。壁に掲示されている、スタッフ直筆の「梅湯新聞」も必読だ。しっかり4セットやり爽快な気持ちで京都駅へ向かう。

新幹線まで45分を切っていたが、最後に京スイーツをと思い、中央改札目の前、JR伊勢丹別館「中村藤吉本店」で抹茶パフェを頂く。

3組ほど並んでいてひやひやしたが、思いのほか回転が速く、10分ほどで入店できた。もう一つの有名店「都路里」とは対称的に、抹茶粉で書かれた「十」の文字がひと際目立つ。カステラ、パフ、ムース、小栗、ジェリー、小倉あん、ムースと味と食感の変化を楽しめるのがパフェの魅力。短い時間ながら京都旅行の締めくくりを楽しんだ。f:id:shidare225:20240211150709j:image

 

1泊2日ではあったが、御年90になる祖母含めて家族で京都を満喫でき、無理やりスケジュールを合わせて行った甲斐があった。読者の皆さんにおいても、日々せわしない毎日の中、是非とも家族で旅行に出かけていただきたい。巷で反響を呼んだ書籍「DIE WITH ZERO」の回し者ではないが、健康なうちに、足腰が動くうちに家族、妻、友人との思い出を作り、「記憶の配当」の恩恵を受けてほしいと願う。

 

 

 

地理学は敷居が低く裾野が広い学問

 

 

「安っぽい」「そんなことない」「地理ってただの暗記科目でしょ?」

耳を立てればいろんな声が聞こえてきそうです。しかしこれは、「私が大学で4年間地理学を学び、社会人になっても四六時中地理の事を考えた」末にたどり着いた見解です。

実際問題、受験生を悩ませる「ケッペンの気候区分」などの公式はありますが、基本的には地理学は「視野に入ってくる景観を読み解く」学問であり、門戸は決して狭いものではありません。景観というのは常に地球の活動もしくは人間の活動により形成されるものであって、私たちが朝起きてから夜寝るまで目にしている光景全てが対象となります。地名を人よりも多く知っていることが重要なわけではなく、「なぜこの景観が生まれたのだろうか」という視点が必須になってきます。f:id:shidare225:20240210160630j:image

例えば、モンゴルの遊牧民の居住するパオ(ゲル)と、地中海沿岸の白亜の住居では起床して天井を見上げた瞬間から光景が全然違いますし、同じ日本でも沖縄、東京、北海道では玄関から一歩出たら全く違う景色が広がっています。気候、地形の形成背景も異なるので、山の険しさや温度は違いますし、土の色や砂粒の大小もそれぞれです。その差異を見出すのが地理学の本質です。その為、大学の授業では座学だけではなく巡検(フィールドワーク、現地調査)がカリキュラムに盛り込まれ、ゼミ単位で宿泊をともなう調査が実施されます。

一日の生活の中で目にする景観、体で感じる気候一つ一つが地理学の対象なので、敷居が非常に低いのがわかるかと思います。「東京は今日晴天だけど、日本海側の新潟はどうだろう」とか、「ここの川はなんであんなにぐにゃぐにゃ曲がっているのだろう」とか。そこら中にゴロゴロと地理学の原石が転がっているのです。

また、これは持論ですが地理学は自分の興味がある分野と紐付けて研究できる数少ない学問だと考えています。

例えばディズニーが好きなら、「ディズニーランド入園客の日帰りできる限界地点」を調べたり、「アラジンのモデルとなっている国の現在の様子」をテーマに植生や気候、食文化、治安を取り上げて書けばいいのです。

ファッションが好きなら、「原宿と下北沢の街の形成要因の違い」で立派な論文になりますし、「輸入古着の国別内訳」というテーマもワクワクします。

ほかにも、ポケモンGOの元となった位置情報ゲームや、アニメの聖地、マラソン、雑誌「Hanako」をテーマに卒業論文を書いたゼミ生もいました。f:id:shidare225:20240210160737j:image

大学でやりたい事が決まっていない高校生はとりあえず地理学科に入学し、自分の趣味に即した研究をすれば良いと思います。入試で地理Bを選択していなくても、47都道府県言えなくても受け入れてくれる懐の広さがあります。

ちなみに、異様に敷居が低い学問ではありますが、扉を開けた先には地平線の彼方まで海原が広がっているのが地理学の面白いところです。深く掘り下げようとすると、地形学、宗教学、文化人類学、地学、歴史学建築学、都市計画、農業、防災といった学問に抵触し、そちらの知識も身につけなければならないからです。これらは氷山の一角で、自分の趣味をテーマに研究するならば、その人の数だけ掘り下げないといけない学問が存在します。そういう意味では、地理学は一生学び続けても飽きることのない学問であるととらえることもできます。

 

今回は、地理学の概要を私の経験をもとにざっくり解説していきました。

2022年に高校で地理総合の必修化、ウクライナ有事やイスラエルガザ地区侵攻といった国際問題の勃発など、世間的に地理学への関心が高まっています。

当ブログで、その魅力を発信できればなとという思いです。固い記事やゆるゆるな記事、様々な切り口で書いていきたいと思いますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

みなとみらいの今~ポストコロナでここまで変わった~

みなさんこんにちは。

突然ですがみなさん、最後にみなとみらいに行ったのはいつでしょうか。

日本津々浦々、大小さまざまな都市を訪問してきた私ですがやっぱりみなとみらいが大好きで、何も予定がなくてもふらっときてしまいます。なんでしょうか、やはり海を身近に感じられる計画都市というのが癒しを生み、心地よさを感じるのです。横浜駅からみなとみらいは散歩にちょうどいい距離ですし、晴れた日に歩くと最高に気持ちいいですよ。今回は、街歩きをする中での発見を共有できたらなと思います。

ここ1~2年で更地が目立っていた区画に新ビルが建ちより「新都心」顔になり、外資系高級ホテルやライブ施設といった、ポストコロナの消費を狙った建物も目立ってきました。特にみなとみらい線新高島駅周辺の開発が著しく、コロナ前とだいぶ景色が変わったのではないかと思います。建物単位でみていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

ウェスティンホテル

恵比寿の高級ホテルが横浜にやってくる!!」本当に衝撃的でした。格質高い上品な外資系ホテルが、横浜の街並みにどう調和するのかが楽しみでした。

2022年6月開業。みなとみらい駅新高島駅の中間くらいの立地です。「帆船」をイメージした外観で、確かに下層部が船舶、上層部が「帆」に見えインパクトがありますね。しかし、派手さはなく落ち着いたデザインなので、うまく街並みに溶け込んでいる印象をもちました。調和しつつ、一目でそれとわかる外観は好きです。

神奈川大学みなとみらいキャンパス

地元では「神大」「じんだい」の名で親しまれる私立大学ですが、2021年4月に経営学部、国際日本学部、外国語学部を置くみなとみらいキャンパス(以下みなとみらいCP)が開設されました。場所はちょうど先述したウェスティンホテルのはす向かいです。

www.mmc.kanagawa-u.ac.jp

中央大法学部など、ここ近年郊外のキャンパスが都心に移転するが一つのトレンドです。少子高齢化時代、定員数削減で余剰となった校舎を縮小し、都心に移すことで人気を上げようというわけです。

神大東横線沿いの白楽CP(横浜市神奈川区六角橋)を拠点とし、一部を平塚に置いています。白楽はともかく湘南ひらつかCPは陸の孤島で、バス移動が必須となってきます。志願者数を確保するには、みなとみらいCPのようなトレンド性のある立地が必要なわけです。

みなとみらいCPがすごいのは、回遊性が非常に高い事。

基本的に大学の敷地は一般向けに開放されている場合が多いのですが、校門があり守衛がいるとなんとなく入りづらいものです。

しかしみなとみらいCPはオフィスタワーのような佇まいで、学生以外の一般人も気兼ねなく入れそうなオープンな雰囲気があります。

食堂は学生、教職員専用なものの、1Fのレストラン、カフェは一般利用可。

なんと、鮨屋クラフトビール専門店、ベーカリーが入居しているとのこと。

もはや大学の域を超えているのでは。。力の入れようを強く感じます。というか、酔っぱらって授業に出る学生がいないか心配になります。

www.kanagawa-u.ac.jp

個人的には、デート向けのレストランやカフェが多いみなとみらいに、野郎一人で食事できる場所が増えるのはありがたいことです。

③横浜シンフォステージ

2024年2月現在準備中の当施設。ピアノや管楽器で有名なヤマハが手掛ける、体験型音楽施設が3月末に開業します。新高島駅からほぼ直結の好立地で、完成前ですが既に存在感を放っています。

低層部は、音楽経験の有無を問わず楽器を体験できるゾーンやミニステージ、音楽教室、ピアノショールームが入居します。上層部はオフィスになる予定。東京、横浜の4施設を閉鎖し、ここみなとみらいに集約します。

音楽や楽器を誰でも気軽に楽しめる体験型の「ブランドショップ」を横浜シンフォステージに、2024年春オープン - ニュースリリース - ヤマハ株式会社 (yamaha.com)

Kアリーナやぴおアリーナ、ZEPPとライブ施設がぞくぞくと開業している昨今のみなとみらい。週末になると歩道を埋め尽くすほどの開演待ちで混雑しています。

それらの施設とともに、「楽器」という観点から音楽の新たな拠点として機能することが期待されます。私は小中でピアノを習っていたので、思い出しがてらピアノを触りに行けたらなと思っています。

ヒルトン横浜

2023年9月開業。アンパンマンミュージアム裏、Kアリーナ横浜に隣接しています。ここ数年で、インバウンド観光客向けのホテルの一大集積地になったみなとみらい。かつてはせいぜいロイヤルパークホテル(ランドマーク内)かグランドインターコンチネンタルホテルの2択だったのですが、ハイアットリージェンシー横浜日本大通り)、ウェスティンホテル、そしてヒルトン横浜。東京で拾いきれない需要を補うためなのかなと推察します。コロナ禍はこれらのホテル、1万円切りの激安価格で泊まれたのですが、今では一休をみると溜息がでる金額になっていました(笑)。

ヒルトン横浜|ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ (hiltonhotels.jp)

横浜駅東口から日産本社へとむかうデッキからこの光景が楽しめます。個人的には、

横浜の新しい顔」になったなと思います。

ヒルトンやKアリーナから横浜駅は川をはさんで反対側なのですが、相互をつなぐ橋がなく、現状日産本社からやや迂回するルートが最短となっています。ただ、Kアリーナでのライブ終了後は相当な混雑となり、横浜駅まで2時間かかったというニュースもありましたね。向こう1年程度で短絡デッキが開通するようなので、それまでは新高島駅桜木町駅に分散するなどの工夫でやり過ごすしかないですね。

news.yahoo.co.jp

⑤まとめ

今回は、私が毎週のように訪れるみなとみらいの近況について建物別でみていきました。特にホテル、ライブ施設の拡充が凄まじいペースで進んでおり、「こんな建物あったっけ?」と驚かされます。マリノスタウンや横濱初めて物語(シネコン、ゲームセンターなどの複合商業施設)があった頃とは大違いで、新高島近辺の更地がほぼ埋まってきました。今後もさらに開発が続き嬉しく思う一方、オーバーツーリズムにならないかという懸念もあります。年末、赤レンガ倉庫で行われたクリスマスマーケットはえげつない人出で、誰が見てもキャパオーバーでした。みなとみらい線の存在は便利ですが、一辺倒ではない新たな移動手段が必要なフェーズに入っているのかもしれません。これからもみなとみらいを散歩しつつ、エリアの動向を注視していきますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは!

 

 




 

首都高で遊んだら楽しすぎた

ルーレット族ではありません(笑)

みなさんこんにちは。先週友達4人でカーシェアをし、首都高をぐるぐるドライブしたら楽しすぎ皆さんにたのでみなさんに紹介したいと思い綴っています。

 

①ルール

首都圏のいわゆる大回り乗車(JR初乗り運賃で関東を一周する遊び)と発想は同じです。

首都高速(以下首都高)では、原則として入口~出口間の最短料金で料金を算出します。例えば、首都高中央環状線(C2)の初台南~富ヶ谷間はわずかに400m、300円と

いう金額ですが、出口を出ない限り、どのような経路を何回通っても300円しか請求されないのです。一筆書き(区間を重複してはいけない)が大原則のJRの大回り乗車と異なる点です。また、同一方向の出口から流出することが条件です。鉄道駅のように

上り下りホームがあるわけではなく、上り入り口のみ、下り出口のみというICがほとんどなので、注意しましょう。

図の色が付いている路線が首都高。

真ん中の一番小さい水色の路線が都心環状線(C1・・・Curcle1)で概ね皇居の外縁を一周するルートとなっています。このC1を軸に放射的に郊外に伸びているのが首都高の特徴で南から1号羽田線、2号目黒線、3号渋谷線という具合に時計回りに路線が設定されています。ピンクの大きい円が中央環状線(C2)。ざっくり山手線の外側を一周する路線と考えていただければ大丈夫です。これらを組み合わせて周回できるというわけです。

途中で料金所を経由しても基本的に最短料金で計上されます。なので、八重洲線(KK線、会社線)内の白魚橋料金所を通過しても問題ありません。

②周回に使えない路線

 

基本的に首都高の他路線に2回以上接続しない路線は使えません。

ex..2号目黒線、3号新宿線、1号上野線、10号晴海線、K7横浜北線など

上記路線に着発点が含まれる分には大丈夫です。例えば、上野線本町→C1宝町は可能です。上野線入谷→上野線本町の組合わせはできません。



③ルート設計は慎重に

毎日使う人でさえも「こことここって繋がっていたっけ?」「この出口のこの向きって降りれたっけ?」と分からなくなるのが首都高。ドライブに出る前に紙に書きだして本当に通れる組み合わせか整合性をとってみてください。

箱崎ロータリーを活用せよ

基本的に高速道路はUターンができません。そりゃそうですよね(笑)ところが、首都高は可能です。6号向島線、7号小松川線、9号深川線が分岐する箱崎ジャンクションを活用すれば、Uターンや方向転換ができるのです。
構造がやや複雑なのですが、1階が出入口、2階が転回(周回)スペースとパーキングエリア、3階が本線と考えてもらえれば大丈夫です。

1F箱崎IC。近隣に浜町IC、清洲橋ICもあり、2Fで合流する

2F箱崎ロータリー。右上の本線が3Fにあたる。

ここを使えば、C1の外回り→内回りのUターンや向島線、深川線(湾岸線)のUターンができます。

構内に一時停止や信号があるので注意して進行してください。

⑤いざドライブ

上野駅近くでカーシェアしました。実際に運転する上での注意点も解説していきます。

帰りを楽にしたいので、上野ICではなく昭和通り経由でC1の宝町IC(内回り)を目指します。そのままC1に入り半周していきます。

宝町IC。なぜか左側ゲートしか使えず、東京駅発の高速バスが器用に膨らんでカーブし、通過していく

池袋線分岐付近(竹橋JCT)。特徴的な毎日新聞社の社屋。

上野線や向島線と分岐する江戸橋JCT~竹橋JCT新宿線分岐の三宅坂JCTが終わるまでは合流車で混雑するので、分岐のない左側車線を走るのがおすすめです。

六本木方向を臨める谷町JCT。渋谷線からの合流部分が短く余裕がないので左車線走行推奨。

霞が関ICを過ぎると皇居からいったん離れ、南側に迂回していきます。

谷町JCTと一ノ橋JCTはそれぞれ渋谷線、目黒線から合流されるのですが、合流側の車線が非常に短く危険な為、「合流注意」という矢印に合わせて左側にいてください。

途中飯倉ICから入ってくる車にも気を付ける必要があり、結構気を遣う区間です。

個人的に苦手な一ノ橋JCT目黒線からの合流はブラインドカーブで目視が難しく、本線側の良心に委ねるしかない

芝公園IC付近で、左手に大きく東京タワーが見えてきます。見どころの一つです。

ThisIs東京な光景。急カーブが連続する区間なので、運転に集中。

首都高独特の急カーブを安全にスムーズする方法として、「カーブの始まりはカーブの外側に目線をやり、終わりに近づけるにつれ目線を内側にやる」という方法があります。めちゃくちゃ簡単なので、ぜひ試してみてください。

浜崎橋JCTから台場線へ。個人的には一番好きなレインボーブリッジからの眺望を楽しむことができます。C1のきついカーブを終えた先、羽田線分岐付近が長い直線になるので解放感でアクセルを踏みたくなりますが、合流車が多いうえ、その先レインボーブリッジに上がっていく際緩やかなカーブになるので、飛ばしたい気持ちを抑え流れに沿った運転を心がけましょう。

ずっと左車線を走っていると9号深川線に行けるので、今回はそのまま走っています。湾岸線に行く場合は最終的に右へ合流しなければ深川線へ行ってしまうので注意。

辰巳(たつみ)JCTから分岐すると右側に辰巳パーキングエリアがあるので、上手く休憩に活用してください。スポーツカーが集まってくるポイントでもあります。

箱崎JCT経由で6号向島線に入り、スカイツリーを右手に眺めます。実は、首都高周回は東京タワー、レインボーブリッジ、スカイツリーといった東京の名所を短時間で回れるという凄い側面があります。初めて東京に来る人やインバウンド観光客はこれ、結構喜ぶのではないかと思います。

C2外回りに分岐する堀切JCTの先、巷では難しいとされている小菅JCTがあります。C2内回りからの2車線と向島線(三郷線)2車線がクロスしているジャンクションで、そのまま進み続けるには最大2回の車線変更を余儀なくされます。また、JCT内の小菅出口は一番右側の出口にあるため、ずっと向島線左車線にいると降りるのが困難になってきます。

向島線から来たら2車線あるうちの右車線、C2内回りから来たら2車線のうち左車線にいる」と覚えておけば車線変更は一回で済むのでそこまで難しくないと思います。今回は向島線→C2に行くので車線変更の必要はなく、今までの車線を走行すればOKです。

個人的に小菅JCTより苦手なのが、次のJCTである江北JCTC2ってなんだかずっと分岐がなく、ひたすら進んで入れば一周できるイメージがあるのですがそうではありません。ここ江北JCTで左に分岐しなければ川口線(東北道方面)に入ってしまい、首都高周回が破綻します。過去に何も考えずに川口線を直進してしまい、最初のICである鹿浜橋で泣く泣く降りUターンした悲しい経験があります、、。皆さんにそんな思いをしてほしくないので、江北JCTは左折ということを是非覚えて帰ってください。

東京都心の北側をぐるりと旋回するように大回りし、進路を変え、JR山手線の一本外側を南下していきます。

池袋付近の熊野町JCT です。こちらも先ほどの小菅JCT同様、車線がクロスしており最大2車線跨ぎが必要になってきます。今回は引き続きC2を使用するため、写真でいうオレンジではない車線に移っていきます(オレンジ側が池袋線、都心方面)。なので、熊野町JCT進入時は右側走行が良いです。

無事合流を終えると、道路トンネルとしては世界で二番目に長い山手トンネルへと入っていきます。全長約18㎞、都心の外側を一気に貫きます。かつて日本一であった、新潟群馬県境の関越自動車道関越トンネル(約11km)を大きく上回る長さ。個人的には非日常感があって好きです。今までのルートの中では走りやすいコースだと思います。
出入口が右車線側にあることが多いので、合流車に気を付けて進行します。

渋谷付近で大橋JCTに分岐。本線から別れた後は急カーブなので速度差に注意。

赤いラインの「都環 渋谷方面」を目指してください。螺旋階段をぐるぐる上っていくかのようで、個人的に好きなポイントです。

C1に戻ってきました!!谷町JCTを内回りに入り、最後は上野出口へ。

 

時間にして約1時間半ほど。ETC料金300円、カーシェア代1750円、合わせて2050円。

4人で行ったので一人当たり500円で楽しめちゃいました。これ、当然ながら大人数で行けばいくほどお得です。このコース、是非まるパクリして頂いて、友達とわいわいドライブしてみてください。今回は昼間に行ったのですが、交通量が少なく夜景が楽しめる夜間のドライブが断然おすすめです。デートにも使えちゃいます。

youtu.be

BGMはシティポップを。

 

 

 



 

走り始め ~年間1000キロ走破を目指して~

みなさんこんにちは。

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今回はちょっと本題からそれますが、趣味の自転車の話をちょこっとしたいと思います。

幼少期からスポーツ音痴の私が唯一続けている運動が自転車。深い知識があるわけではないですが、長い人生これからも良きパートナーとなりそうです。f:id:shidare225:20240124210247p:image

横浜実家時代はロードバイクを所持しており、鎌倉や江ノ島、逗子をよく周っていました。時には三崎港や湘南平(平塚)に足を延ばすことも。コロナ禍真っ只中、2020年6月に当時の職場(大田区)にチャリ通するために大井町に越してきました。クロスバイクに切り替え片道5キロ、汗だくですが毎日自転車に乗れる多幸感がありました。

現在は職場が丸の内になった&スーツ着用のため電車通勤に切り替えましたが、職場近くのロッカールームを借りてチャリ通できないかなと思うほど自転車が好きです。

しかし寒いのが大の苦手で、冬季はシーズンオフにしています。大田区時代冬場も毎日乗っていましたが、あまりにもきつくて1年で辞めてしまったほどです。

とはいえ、年間1000キロ走る(去年は819キロ止まり)ためにはちょこちょこ始まる必要があり、夕方でも気温12℃あったある日、走り始めをしました。

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コースは自分のなかで定番の駒沢公園往復。距離にして20キロほどです。

環七を北上するのですが、夫婦坂(めおとざか)の緩いアップダウンがあったり適度に負荷のかかるコースで気に入っています。調子のいい時は東名東京インター近くの砧(きぬた)公園往復(約30㎞)、さらに行けそうなら井の頭公園往復(約50㎞)と距離を稼ぎます。今回結構やる気と体力があったので延長したかったのですが、途中で雨が降ってきたので、駒沢公園を周回して帰りました。

ただ、程よい湿度と気温に包まれ、まるで寝ているときのようなリラックス感があったのを覚えています。やっぱり自転車は素晴らしい。良いスタートダッシュとなりました。f:id:shidare225:20240124210259p:image

今年30歳になるので、体が許すうちにしまなみ海道も行きたい。サイクルライフに夢が膨らみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

次世代モデルの地方都市商店街を観察 ~地理オタクがうなる異例の再開発~

みなさんこんにちは。

 

今回は、地方都市にあるにも関わらず異才を放つある商店街について見ていきまし

う。

当ブログを読んでいる方は地理に興味がある方が多いので、すぐにピンときたのではないでしょうか。人口40万都市の”ある”商店街です。

 

①場所・概要

四国は香川県の県庁所在地、高松市にあります。

丸亀町商店街

おなじ香川県内の丸亀市から商人を招いたことが町名の由来です。

JR高松駅からは約1㎞の距離にあり、歩いていくことができます。

最寄り駅はことでんの片原町で、この区間はアーケードを貫くように線路が伸びています。商店街の中に駅がお邪魔している感じが面白いのです。

改札を降り、片原町商店街を丸亀町商店街方向へ歩いてゆくと、あることに気づくと思います。「やけに天井が高いな」。そして一番のメインストリートに着くとこう思うのです。「なんだこの商店街は??」

そこに広がっているのは地方の寂れたシャッター街ではなく、白亜の建物にルイヴィトンやコーチといった高級ブランドが入居して、人々が行きかう活気ある姿でした。ヨーロッパの通りを思わせるような巨大な吹き抜けにはエスカレーターや上層階同士をつなぐ橋渡し通路が設置され、屋根はガラスで組まれており日光が降り注いでいます。さながら、人気の郊外のアウトレットのよう。若者の心をぐっとつかんだような、来たくなる空間がそこにはありました。

なぜこのような商店街が高松にはあるのでしょうか。

②要因1

ポイントは、便利な地方鉄道と徒歩移動率の高さにあります。

地方鉄道=赤字、本数が少ない、不便というネガティブなイメージが付きまといますが、こと高松においては異なってきます。

高松市の中心部と郊外、観光地琴平を結ぶ琴平高松電鉄「通称ことでんは、地方において車いらずの生活が送れる便利な交通手段になっています。比較的駅間が短く、細かい需要をつぶさに拾っている、そういう印象を受けます。そして、以下の図を見てください。

朝ラッシュ時のターミナル駅である瓦町の時刻表です。どうでしょうか、1時間に13本と首都圏顔負けの本数となっています。中には1分後に列車が来るタイミングもあり驚きです。琴平線長尾線が終点の高松築港まで区間を重ねているため、高頻度運転となっているのです。

一番本数が多い区間だけ見ても不公平なので他の駅も見ていきましょう。

琴平線の途中駅、伏石(ふせいし)駅の高松築港方面の時刻表です。朝ラッシュ7本、日中4本というダイヤになっています。パターンダイヤになっているので、時刻表を気にすることなく利用できるのは便利です。

また、現在ではごく当たり前に使用されているIC乗車券「IruCa」を地方私鉄としては先駆けの2005年に導入し、学生や70歳以上の高齢者、身障者用の運賃割引が適用されたIruCaを発売するなど、独自の方法で地元住民の移動をサポートしています。香川大学の学生証やレンタサイクルのキーとしても使うことができ、カード1枚あるだけで高松での生活がグッと便利になったわけです。これらの事情で鉄道移動が至便であり、中心商店街である丸亀町が栄えている一因となっています。

それと並行して、高松の地理地形がもたらす恩恵が丸亀町商店街の賑わいにスパイスを効かせています。

ご覧の通り、高松市の市域の北側半部が四国最大の平野である讃岐平野に収まっています。平地にぽつぽつとあるのはため池で、瀬戸内型気候帯に属し降水量が少ない香川独自の景観となっています。渇水が県全体の懸案事項な為、高知県土佐町、吉野川流域の早明浦(さめうら)ダムで貯水量を管理しています。うどんを茹でるために大量の水を消費するわけですから、香川県民にとって水不足は命とりなわけです。

話をもとに戻しましょう。

高松市街地は傾斜地が少なくフラットなため、雨が少なく日照時間が長いため、自ずと移動の選択肢に徒歩や自転車が挙がってきます。高松市街地の移動割合は自動車がトップではある(59.5%)のですが、次いで徒歩(16%)自転車(15.4%)という結果になっており、*1公共交通機関に頼らない移動がある程度定着しているという事情があるのです。

加えて、中心市街地がJR高松駅~瓦町(多く見積もって栗林まで)というコンパクトなエリアに収まっているので歩けてしまうという要因もあると思います。

③要因2

丸亀町商店街の繁華ぶりのもう一つの要因として、民間主導で開発を進めた経緯があります。要は、国や自治体よりも地元住民や自営業者の声をもとに形成されたという事です。

丸亀町は高松城築城時からの城下町として約400年の歴史があり、主にファッション店舗を集積させ流行の中心として栄えてきました。

一方、1970年代になると自家用車が普及し、いわゆるモータリゼーションが加速していきます。車で来てもらうための駐車場の用地を取得するため1972年「丸亀町不動産会社」を設立。商店街の意匠からイベントまでをワンストップで管理する体制が整いました。各々個人が持つ城下町時代の短冊状の土地所有権を共有し、商店街全体で店舗を開発管理する体制が整いました(現在は高松丸亀町まちづくり株式会社が一括で管理)。

瀬戸大橋が開業した1988年には丸亀町開町400年祭を開催、108日という日程を無事に終えたのですが、「今後はモータリゼーション中心市街地の賑わいが郊外の大型店に流れてしまう」という危機感が現場には流れていました。

そこで、今一度商店街の在り方を再考。ショッピングモールのように回遊性の高い商店街を目指し、業種の偏りを無くすなどの試みが行われました。丸亀町の衰退=高松全体の衰退と考え、都市計画の有識者が協議会に加わり本格的に未来の高松を考えた調査、議論が進められたのです。

そして実際に中心地の流動が減少し空き家も見られる中、現在のようなヨーロッパ調のドームや外壁、アーチといったファサード(外観)を商店街に取り入れ、まるでアウトレットに来ているかのような高揚感を演出し、若い人達が満足するような商業空間を作り出すに至ったのです。

こうした地元住民主導の再開発に共感したデベロッパーが丸亀町の不動産価格が今後も上昇するとし、商店街の上層部にマンションを開発する動きが出始めました。中にはクリニックを併設するところもあり、三越での買い物から診療までがほぼ住居の敷地内で完結するものすごい空間が創出されているのです。

 

④まとめ

高松丸亀町商店街の成功の理由は・・・

・地域に根差したサービス精神旺盛な私鉄(ことでん)の存在

・雨が少なく日照時間が長いため、域内の移動手段で徒歩、自転車の割合が全体の30%を占める為

・国、自治体のトップダウンではなく、地元住民、商店街関係者、学者主導で開発を進めた為

・江戸時代から続く個人の土地所有権を共有し、区画の大きい再開発ができた為

デベロッパーが積極的に参入し、店舗上の空白(上層部)をマンション、医療施設として活用し、今までにない高次元空間を作り出した為

 

丸亀町商店街は、今あるものを生かしながら不足しているものを加筆し、今まで以上のポテンシャルを発揮しているえげつない商店街で、次の時代(=人口減少、コンパクトシティ)を本質的に見据えている数少ない事例ではないかと思います。他地域から来てもらうだけでなく、商店街に住んでもらうという方向性はお見事です。なにより、写真を見ているだけでもワクワク、高揚する景観が素敵ですね。

高松は3回行ったことがあり、高松港エリアの倉庫を改築した商業施設「北浜ALLEY」もわざわざ足を運ぶ価値があります。こちらは古き良き波止場の雰囲気をいかしたファッション、雑貨、カフェ店舗が入居しており、非常におススメです。

 

 

www.kitahama-alley.com

思えば、尾道U2然り、瀬戸内地域は再開発商業施設の宝庫ではないでしょうか。そして全てハイセンスです。これらをまわるだけの旅行も面白そうですね。

今度高松に行く際は、じっくり丸亀町を観察したいと思います。

 

それでは次回、こうご期待!

 

 

 

 

 





 

 

 






 



 



 

知ってるようで何も知らない能登半島

みなさんこんにちは。

 

2024年元日に発生した能登半島地震で被災した方々へ、心よりお見舞い申し上げます。

今回は、能登半島について知ってもらおうという内容になっています。4つのエリアに分けて解説していきたいと思いますので、是非一読して頂ければと思います。

 

1.クイズ

いきなりですが皆さん、この4つのうちどれが能登半島かわかりますでしょうか。

 

 

答えは左下。(スマホで配列が崩れている場合、上から3番目です)

左上から順に、逆さの伊豆半島、逆さの千葉県(房総半島)、能登半島、逆さの三浦半島となっています。北東へ大きくせり出している点や、中央部に能登島という大きな島があるのがヒントでした。全て答えられた方はお見事です。

こうしてみてみると、どの半島も場所は違えど似たような形をしていて面白いですね。

陸地から大きく海側へ伸びている分海流の影響を大きく受け、波によって削れてた(浸食作用)部分は崖になりますし、逆に波が運んだ土砂が貯まれば(堆積作用)砂浜となります。駿河湾相模湾富山湾は海産物の宝庫で沼津、三崎、氷見(ひみ)は全国的に有名な漁港となっています。


能登半島を拡大してみました。

2.羽咋

南端にあたるのが羽咋(はくい)。難読地名です。このなかでは県庁所在地の金沢に一番近いですが、それでも約40km近い距離があります。先端の珠洲(すず)に至っては同じ県内なのに140㎞も離れており、能登半島の巨大さを思い知らされます。

砂浜を車で走ることのできる「千里浜なぎさドライブウェイ」羽咋市にあります。砂の粒一つ一つが非常に細かいため、車の重みを支え込むことができるようです。

www.city.hakui.lg.jp

3.七尾

七尾能登半島では中心的な都市で、人口は約48000人(令和5年11月現在)。東京方面から七尾以北へ行くには、金沢ではなく新高岡から車で向かうのが最短コースです。

水族館やガラス美術館がある能登島や、「日本一の旅館」とも称される加賀屋ホテルがある和倉温泉が主な名所。旅館の仲居がテーマのアニメ「花咲くいろは」の舞台もここ七尾市です(個人的におすすめです。観ると、能登を旅したくなります)。作中では、のと鉄道西岸駅が舞台の最寄りになっています。

www.hanasakuiroha.jp

七尾には大学時代の友人が住んでおり、震災当日は家の中が倒れてきたもので散乱したそうです。しかし建物そのもの被害は無いようで安心しました。

4.輪島

能登半島の北部に位置するのは輪島。今回の地震で最も多くの被害を出した地域のひとつです。大阪などの大都市からは陸路では遠く、代わりに江戸時代に日本海側の諸都市を廻った「北前船」の交易都市として栄えました。また、漆器で有名な伝統工芸「輪島塗」もこちらを指します。輪島市は市域全体が山がちなのと、人口希薄地域(R5年12月現在約23000人、人口密度約50人/㎢)であるため、労働生産性、土地生産性の低い「棚田」と呼ばれる稲作地が点在しています。傾斜地ゆえコンバインといった大型の機械を入れることができないので、手作業で植付~稲刈をするのです。現在ではこの棚田が農業体験や観光の場として再評価されており、沿岸部に位置する「白米千枚田」は、日本海の眺望と棚田という日本の農業の原風景を追体験できるスポットとして、市を代表する観光地となりました。f:id:shidare225:20240114125157j:image

5.珠洲

最後に能登半島の先端、珠洲を紹介します。

こちらも震災の影響が大きい地域で、輪島同様、木造家屋がいまだに使われており、その倒壊で大きな被害が出ました。古き良き木造家屋は観光で楽しむ分にはいいですが、実際に住んでいる人がいることを考えると複雑な思いです。京都府伊根町の舟屋の美しい風景を思い出すと、どうにか景観と耐震、安全を両立できる術はないのかと悩んでしまいます。

読み方は珠洲(すず)。先述の通り、金沢から140㎞、大阪から440㎞の距離にあり、高知県土佐清水市のような「大都市からも県庁所在地からもアクセスが難しい孤高都市」となっています。ただしのと空港があるので、空路はそこまで不便がないかと思います。これだけ遠いと、一度は陸路で制覇してみたいなと思うのです(笑)。

主な見どころはやはり塩田でしょう。日本全国でもここだけ、「揚浜式製塩」を行っているエリアです。海水汲み上げ塩田にまき乾燥、蒸発。その後、砂利に再び海水を注ぎ、塩分濃度の高い「かん水」を精製。最後に窯で炊き上げるという古来の製法です。

www.sio-denen.jp

 

駆け足になりましたが、いかがでしたか。

今回の記事で少しでも能登半島について詳しくなって頂けたら幸いです。

 

そして、能登半島が一日でも早く復興することを心より願っています。

被害が少なかった金沢は風評被害に悩んでいるため、もし旅行を計画している方はキャンセルすることなく行って頂き、現地にお金を落としていただければなと思います。

私自身はひと段落した夏休みに七尾の友達に会いに行き、現地にお金を落とす予定でいます(笑)

 

それでは、次の記事でお会いしましょう。

 

 

 

 




 





 

20年で都道府県人口はどう変わったのか 見ていきます

みなさんこんにちは。

今回は、個人的に感覚をアップデートしなければなと思い書いています。

というのも、私が小学校の頃(今から約20年前)覚えた各都道府県の人口と2024年現在の人口が大いに乖離しており、「○○県は○○万人くらいだったな」という指標が通用しなくなっているからです。例えば、2000年の福島県の人口は約214万人帝国書院出版 新編 中学校社会科地図より)であったのが、2023年12月現在では約176万人

まで減少しています。「200万人よりちょっと上」という認識から切り替えないといけないわけです。

また、群馬県民なら誰もが空で言える「上毛かるた」でも改編を余儀なくされおり、「ち」の札を「ちからあわせる二百万」から「ちからあわせる百九十万」に差し替えて販売しています。それだけ人口が減ったという事ですね。

いまや日本は東京、沖縄を除き全ての都道府県で毎年0~4.7%ずつ減少しており、数少ない増加県であった宮城、埼玉、神奈川、滋賀、大阪、福岡が既に脱落しています。

人口=経済ですから、働き手や買い手がいなければ企業やお店は立ち行かなくなり、住民税を収める市民がいなければ、行政サービスは崩壊します。

近年では、限界集落を「村おさめ」し、中心市街地にインフラや行政、福祉を集約する「コンパクトシティ構想」がしきりに叫ばれていますが、このままいけば現実味を帯びていきます。将来的には管理が行き届かない道路は通行止めになり、橋脚が崩壊しても放置するとか、、。

前置きが長くなりましたが、地方別に人口増減を見ていきましょう。

 

B÷Aは、2000年人口に対する2023年人口の割合を表しています。

北海道の2023年の人口は2000年の約90%(10%減)という意味です。

秋田、青森がそれぞれ76%、79%と全国ワースト。若者が就業を希望する仕事が少なく、仙台や東京に人が流れているのが現状です。北海道の減少は緩やかに見えますが、札幌への一極集中と、炭鉱や鉄鋼、製紙を主産業とした都市の衰退が同時に起きており、明暗がはっきりとしています。

続いて関東地方です。東京の人口増は圧巻で、23年で226万人増加。一方、コロナ禍ではテレワークや地方移住が浸透し、一時転出超過になりました。神奈川は長年人口第2位であった大阪を抜き、唯一の900万人台を達成。群馬、栃木は200万人台から転落。

中部地方を見ていきましょう。三大都市の名古屋を抱える愛知のみプラスを維持しています。北陸県、新潟がやや減少幅が大きいのがわかります。静岡は94%と健闘していますが、北部に山間部を多く抱え過疎に悩んでいます。政令指定都市浜松(市域に山岳地帯を有する)の行政区再編のニュースは衝撃を受けました。

近畿地方です。大阪府はプラスを維持していますが、関西経済の停滞、東京への流出で2%増にとどまっています。一方、うめきたエリアと中心とする都心部の再開発が活発で、個人的には東京都心と勝るとも劣らない魅了作りがされているなと思います。

JRの新快速で梅田、京都へのアクセスが便利な滋賀は長年人口増に恵まれてきました。しかし、立命館大びわこ・くさつキャンパスの一部移転に伴う学生の転出など不安材料もあり、2023年だけみれば人口減となりました。京阪神から遠い和歌山の減少幅が大きく、100万人の大台から転落。

東北に次いで減少幅の大きい中四国地方。

人口増の県はありませんでした。

農業、漁業といった第一次産業の割合が大きい高知県は23年で20%減。後継者不足に悩まされています。

四国内では奮闘している香川も89%止まり。高松市の中心商店街「丸亀町商店街」は天井を高く作ったアーケード街が話題を呼び、地方都市の商店街の成功例として話題を呼びました。サンポート高松の再開発もあり、都市の魅了度は40万人都市では一番ではないかでしょうか。今後いかに若い世代を呼び込めるかが勝負です。

政令指定都市を抱える広島や、中四国のターミナルとなっている岡山も軒並み減少となっています。

最後に九州沖縄地方です。

成長著しい福岡がけん引しているかと思えば、3%増にとどまりました。福岡市は右肩上がりで人口が増えている一方、製鉄を主産業にしてきた筑豊諸都市や大牟田市が大幅に人口を減らしているためです。

長崎もまた、基幹産業の造船、製鋼が不振となり人口が流出、18%減です。

11%増の沖縄は地域全体で子供を育てるという文化が根強く、出産のハードルが低いという他県とは異なった事情があります。一人っ子ファミリーは少数派で、2人兄弟3人兄弟は当たり前。それゆえ生活費が重くのしかかり貧困に陥る家庭が増えてきており、社会問題となっています。母子家庭も非常に多いです。

 

人口問題は一朝一夕には解決できるものではありません。

一人息子に集中して教育費を割き難関大学にいれるという風潮もそうですし、晩婚化、共働き世帯の増加、そもそもの若者の結婚離れ。この流れを変えるのは一個人の努力では難しいですし、政府が政策を打とうにも予算には限界があります。

「これだ!」という解決策はないので、ある程度人口減少を受け入れ一人一人の生産性を高めていくのが現状に即した対応になってきます。満員電車や渋滞が無くなるかもしれませんし、一人当たりの専有面積が増え、同じ家賃でもっと広い部屋に住めるかもしれません。ディズニーランドの長い順番待ちやショッピングモールの混雑から解放されれば、休日の満足度が上がるかもしれません。頭の痛い問題ではありますが、柔軟に思考を切り替えて向き合っていくべきだと思います。

 

長くなりましたが、今回は約20年前と比較しながら人口問題を解説してきました。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

このような真面目な記事もどんどん書いていきたいと思うので、是非とも読者登録をよろしくお願いします!

 

 



 




 

 



 

明けましておめでとうございます。

皆さま、明けましておめでとうございます。

 

今年は当ブログをさらにブラッシュアップしていこうと思いますので、引き続きお付き合いくださいませ。

 

目標としては

①月4投稿を維持する

②地理系の記事、旅行系の記事、鉄道系の記事をバランスよく投稿する

③インスタグラムアカウントを開設し、発信する

④専門領域外の自然地理学の観点から記事を書く(能登半島地震により世間の災害への関心が高まっているため)

です。

より多くの方に楽しんで読んでもらえるよう精進してまいります。

元旦は根府川まで初日の出を見に行きました。地元の方しか来ないような穴場スポットで、車も止めやすいのでおすすめです。

www.google.co.jp

 

それでは、次の投稿でお会いしましょう!



 

 

 

普通列車グリーン車が大改悪 解説します

 

 

みなさんこんにちは、えだです。

今回は、JR東日本2024年ダイヤ改正で取り上げられた普通列車グリーン車(以下G車)の大幅値上げについて言及していきます。G車について解説した記事も書いていますので、合わせてご覧ください。

shidare225.hatenablog.com

日常的に通勤や旅行で活用する方々には耳の痛いニュースです。

JR東日本HPより引用


こちらは値上げ後の料金表です。解説していきます。

①ホリデー料金の廃止

土休日に遠出するときに重宝していた割安なホリデー料金が無くなってしまいます。

事前購入で50㎞以下利用580円(平日780円)、50㎞以上上限なし780円(平日1000円)とお手軽料金なのでついつい課金していたのですが、この恩恵も受けられなくなります。

②遠距離料金の新設

運賃体系の見直しとありますが、実質的な値上げととらえてよいでしょう。

101㎞以上でSuica購入で1550円、紙きっぷ購入で1810円

東京~熱海間は100㎞を超えるので、普通運賃+最大1800円かかることに。(品川~熱海間は100㎞を切るので、行程に余裕があれば乗り換えもおすすめ)

距離が延びるほど運賃が割安になる遠距離逓減制の観点からも理にかなってないですし、新幹線自由席特急券と値段と大差ないので、こだまに利用客が流れそうです。実際、SNSでは批判の声が相次いでいます。


③解決策はJREポイント利用一択か

前回の記事でもお伝えしましたが、お得にG車に利用するなら今後より一層JREポイント活用が肝になります。JREポイントについては詳しく解説しませんが、JR路線、関連商業施設、ECを利用した際に貯まるポイントサービスと考えていただければ十分です。

こちらについてはポイント交換のレートに変更がないので、400~600ptのまま引き換えることができます。

JREポイントの回し者ではありません(笑)

最大で70~78%引で利用できるので、定期的にG車を利用する方はもちろん、半年に1回レベルの利用でも十分恩恵を受けれるのです。余った分はSuicaチャージに充ててもいいですしね。

実際の所、このようなポイント利用やチケットレス利用を大幅に割引にすることによって窓口業務や検札業務を縮小し、人件費を縮小させるのが本来の目的ではないかと思います。

④悪い事ばかりではない

タイトルにある通り、今回の大幅値上げを「悪」ととらえて概要を解説してきました。

しかしながら、個人的には全てが悪い方向に向かうわけではないと考えています。

今までの普通列車G車料金が安すぎたという見方もでき、値上げにより車内の客層が上がることが期待されます。以前、熱海から座席を向かい合わせにして酒盛りを始め騒ぐ集団が乗ってきたことがありました。アテンダントの方が注意してようやくやめる始末。これでは、静寂で快適な空間に課金した意味が無くなってしまいます。

私鉄各社のライナーのような着席保障よりは移動の快適さに重きを置いているのが普通列車G車の意図なので、言い方は悪いですが趣旨に沿わない乗客を閉め出す意味もあっての値上げなのでしょう。

⑤まとめ

今回、G車の大幅値上げについて解説してきました。従来通りの買い方で購入すると場合によっては倍近い金額になるという場面がこれから出てきます。しかしながら、推奨される購入方法を熟知しておけばその影響を受けずに済む、もしくはいつも以上にお得に利用できるというわけです。正直なところ、利用者の声を反映した誰もが利用しやすいサービスの対極に向かっているのが今のがJR東日本。「誘導」とも捉えられますが、JREポイントを活用し、おトクに乗車していくのが賢明だと思うところです。

それでは、次回乞うご期待!

 

 

 

「2023年を振り返って」

お題「2023年を振り返って」

 

みなさんこんにちは。えだです。

 

みなさんにとって2023年はどのような年でしたか。

国際情勢が著しく変化する昨今、輸入されるエネルギー資源や食品価格が高騰し、

生活に影響が出ている方が多いと思います。一方、コロナが第5類に移行されたことにより行動制限が撤廃され、旅行や帰省を気兼ねなく楽しめた一年でもありましたね。

通勤で毎日東京駅を利用するのですが、昼夜を問わずキャリーケースを引く方の姿を多く見かけました。インバウンドと思われる外国人観光客がみな楽しそうな表情で歩いていて、「ぜひ日本を楽しんでください」と声をかけたくなるほどです。

 

私においては、普段から考えている地理学(とりわけ都市地理学)について、初めて言語化できたスタートアップの1年でした。

幼いころ、小学校の社会科教員・教頭であった祖父から貰った地図帳から興味が始まり、大学は地理学を専攻。学生・社会人とありとあらゆる地域を旅し、日本の景観・生活文化の多様性を自分の目で確かめてきました。しかしながらせいぜいインスタグラムにストーリーを載せる程度(これも大事ですが)で、その場所で何を感じたのか、あるいは地域について思う点があるのに形に残せないでいました。

そこで、一念発起しブログという形で記録しようと決意。

気が付けば半年で30本近い記事を書いていました。都市地理学、景観地理学、旅行記、鉄道ネタ・・・自身の興味の赴くままにがむしゃらに言語化してきました。

来年も引き続き投稿を続けていきますが、より皆様に読んでもらえるよう、親しみやすいテーマや話題性のあるテーマで出筆できればなと思います。

また、ブログを書くにあたって読書量が劇的に増えた一年でした。もともと読書は好きでkindleUnlimitedに登録していましたが、月一回刊行「POPEYE」を読む程度。もっと活字に触れたいと思い、図書館に通ったり本屋で気になった本を買ってみたりという1年でした。ざっくり月4~5冊は読むようになりましたね。休日にスマホをダラダラいじり自己嫌悪になるのが日常でしたが、文字に触れることでデジタルデトックスになり、内容に集中している時間は心地が良くてストレス解消になりました。

こんな感じで、2023年はじぶんの中で何かが動きだした1年でした。来年2024年で30歳になるのですが、ラスト20代でできることを悔いなくやり、その体験を記事に落とし込めればなと思います。

 

それでは、良いお年を!

 

 

 

JR北海道 2024ダイヤ改正 ~北の果敢な挑戦~

みなさんこんにちは。

毎年この時期(出筆は12月中旬)、JR各社来年3月に実施されるダイヤ改正が出そろう時期です。路線、列車、駅の廃止、新設をメインに新サービスの情報、運賃の改変など内容によっては一喜一憂してしまう事も。

各社トピック

JR北海道・・・快速エアポート増発&区間快速エアポートの新設、ICカード「Kitaka」エリア拡大

 

JR東日本・・・普通列車グリーン車の実質値上げ、京葉線快速廃止

 

JR東海・・・特急「しらさぎ」運行区間を名古屋~敦賀間へ短縮、中央本線130km/h運転化

 

JR西日本・・・北陸新幹線 金沢~敦賀間延伸開業、大和路線通勤特急「らくラクやまと」新設

JR四国・・・パターンダイヤ、徳島駅でのタクトダイヤ(相互接続)導入

JR九州・・・813系電車ロングシート化、特急「ソニック」夕方の福間停車拡大

 

いろいろ気になるところはありますが、今回はその中でもJR北海道に焦点をあて解説していきます。f:id:shidare225:20231219203954j:image

1.主要特急列車の全席指定化

これ、かなり思い切ったなと思います。実際には、今年(2023年)11月に発表されていた内容ですがインパクトが大きので取り上げました。

北海道新幹線の存在感がまだまだ限定的で、JR北海道鉄道事業の根幹の一つとなる在来線特急。都市間輸送、とりわけ札幌-旭川間の自由席の人気は根強いです。それゆえ車掌の検札業務は多忙を極め、最近では車掌2人態勢で車内放送と検札を分担しているケースもあります。加えて、指定席券売機を操作できない高齢者やインバウンド観光客がみどりの窓口に長蛇の列を作る光景もよく見られます。
f:id:shidare225:20231219205144j:image

こうした昨今の事情を鑑み、今回の全指定席化に踏み切ったのでしょう。

時間が読めない際とりあえず来た列車に乗ればいい、短区間乗車時の節約などのメリットが多い自由席ですが、JR北海道という一企業としては人件費の割に煩雑な業務が増える不合理な制度なのです。f:id:shidare225:20231219204142j:image

今回、函館方面の「北斗」、室蘭方面「すずらん」、釧路・帯広方面「おおぞら」

帯広方面「とかち」が全車指定席化となり、需要の多い旭川方面「カムイ」「ライラック」は自由席を2両にまで減らします。

「実質的な値上げ」と批判されそうですが、えきねっとを利用した大幅割引きも拡充されます。

JR北海道HPより引用
さらに、札幌~旭川間のえきねっとチケットレス化も始まります。混雑する区間だけに、窓口や指定席券売機での受け取りが不要になるのは歓喜です。

2.快速エアポートを毎時6本に増発&区間快速エアポートの新設

個人的には嬉しさ半面悲しさ反面です。

単純に10分に1本来ることになり、新千歳空港駅では常に列車が待機している状態となります。空港発の着席率が上がるのは間違いないです。大きくて重い荷物を抱えているとき、座れるのは本当にありがたいですよね。また、特別快速エアポート(千歳、恵庭、北広島通過)の拡充も嬉しいです。f:id:shidare225:20231219204248j:image

一方で、増加するエスコンフィールド利用客を救済する目的で「区間快速エアポート」なるものが新たに設定されました。厄介なのが上野幌を除く新札幌~新千歳空港間が各駅停車になる点。従来の快速エアポートの所要時間が新千歳空港~札幌間37分なのに対し、区間快速エアポートは43分と6分も延びます。ちまちま停車したうえ北広島でエスコン勢で満員になるので、体感の所要時間はますます延びそうです。

JR北海道HPより引用

しかしながら、快速エアポート普通列車、道東・胆振・道南へ向かう特急、貨物列車がひしめく中ギリギリまで千歳線の増発に踏み切ったのは勇気のある決断です。鹿などの野生動物との接触、大雪といった遠方の遅延がダイレクトに影響する路線ですからね。

実現できるかはさておき、個人的には貨物列車の室蘭本線迂回、南千歳~新千歳空港間の複線化、千歳線複々線化を期待しています。北のドル箱路線(赤字ですが)千歳線はまだまだポテンシャルを秘めています。

3.交通系ICカードKitaca」のエリア拡大

これは意表を突かれました。すごい。冬季の施設費用が莫大で、設備投資を少しでも抑えたいであろうJR北海道ですが、よくやったと内心ガッツポーズでした。

今回拡大されるエリアは函館本線岩見沢旭川間、新函館北斗~函館間。

いずれも観光やビジネスで非常に需要の高いエリアなので、より乗客の流動をスムーズにするうえでIC化は理にかなっています。特に新函館北斗はせっかく新幹線→在来線の(ほぼ)対面乗り換え体制が整っているのに、切符を取り出す必要があり煩わしさを感じていました。新幹線乗車券・特急券をeチケットで購入すれば、東京から函館までチケットレスの移動が実現します。これは素晴らしい。

いくら函館本線といえど廃駅があるのに(2021年 伊納駅など)と思ってしまいました。これぞ”選択と集中”。当然、無人駅にも端末が設置されます。

4.快速エアポート全列車桑園停車

これも衝撃を受けました。NO.2に組み込めばよかったのですが、別枠で紹介させてください。

桑園駅は札幌駅のひとつ小樽よりの駅で、JR北海道本社、札幌競馬場の最寄り駅です。

快速エアポートの通過駅ではJR北海道最大の乗車人員を誇る駅で、自分の中では「永遠の通過駅」でした。観光客が大挙して訪れる小樽への速達性を維持するためですね。

しかしながら、人口増によるマンション開発の増加、学園都市線との乗り換え利便性強化といった観点から、2024年のダイヤ改正から停車に踏み切りました。f:id:shidare225:20231219204406j:image

優等列車が止まっても全然おかしくない利用客(乗降17,226人 R4年JR北海道の駅別乗降客数ランキング (statresearch.jp))ですし、乗換駅なので、妥当だと思います。

一方、札幌駅からの着席率が下がる懸念はあります。一本見送り札幌始発の快速エアポートを狙う、Uシートを予約をするなどの工夫が求められます。

 

以上、JR北海道2024年ダイヤ改正について解説しました。

今後も各地域の鉄道事情について取り上げていきたいと思っているので、購読リスト登録、是非お願いいたします!

 

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JR東日本から凄すぎるフリー切符が発売されます

 

みなさんこんにちは。

去年のJR東日本パス(2泊3日東北一周紀行 - えだ (hatenablog.com))という22,150円で3日間JR東日本全線(特急や新幹線含む)が乗り放題になるという凄まじい切符が発売されました。

今回、それに勝るとも劣らないえげつない切符が発売されます。その名も、

「旅せよ平日!JR 東日本たびキュン♥早割パス」(通称:キュン♥パス)。

https://www.jreast.co.jp/press/2023/20231205_ho02.pdf

ネーミングセンスは謎ですが、概要は以下の通りです。JR東HPよりそのまま抜粋します。

○ 長いコロナ禍を抜け、国内観光流動が急速に勢いを伸ばしている中にあって、JR東日本エリアには、特に
平日を中心にコロナ前の水準に回復途上の観光地が多数あります。
JR東日本では、こうした地方の観光産業活性化の課題に対して、混雑が少なく、宿泊費などが休日に比べて割安といった平日旅のメリットを最大限に活かした旅行商品を多数企画することで、地方の観光産業を
応援します。
○ 特に、コロナによる制約の多い学生生活を送ってきた学生の皆さまに、卒業旅行などにご利用いただきたい
おトクな商品を企画しました。平日旅が、多くのお客さまにとってJR東日本エリアの観光の魅力を体感して
いただく機会となるよう、JR東日本グループで取り組みます。

 

実施期間は2024年2/14~3/14の一か月。平日限定です。(キュン♥パス)の名称は、バレンタインデーとホワイトデーの間が有効期間であることが由来のようです。購入期間が利用日の1か月前~2週間前なのでここも注意です。当日の購入はできません。

JR東管内の新幹線や特急も乗り放題で、2回まで座席の指定を受けることができます。JR東日本パスが3日間で4回の座席指定だった為、今回のほうがお得感があります。はやぶさ、こまち、つばさ、かがやきといった新幹線やあずさ、踊り子、草津・四万といった特急は全席指定車なので、使わない手はないですね。f:id:shidare225:20231213185457j:image

そして今回注目したいのが、普段は乗り放題にならない第三セクター線も対象となるところ。青い森鉄道線いわて銀河鉄道線三陸鉄道線、北越急行線、えちごトキめき鉄道線(直江津〜新井間) も有効です。うまく行程を組めば、いつもとは一味違う鉄道旅行を楽しめるというわけです。それでいて1枚10,000円は安すぎでは?

連続する○○日間という制約がないので、有効期間内で自由にカスタマイズできるのもよいですね。たとえば、第一週目には東北に行き、第二週目には長野に行き・・なんてことも可能です。

モデルコースをいくつかご紹介します。

1.青森の名湯&名サウナを巡る旅

東京 6:32発はやぶさ1号 

新青森9:49着

   9:58発

青森10:04着

待ち時間でAーFACTORYでお土産探しor 長尾中華そばを頂く

A-FACTORY | 青森ウォーターフロント

naga-chu.com

青森10:46発 青い森鉄道八戸行き 

浅虫温泉11:06着

1200年の歴史がある東北の奥座敷を楽しむ

www.asamushi.com

浅虫温泉13:20発

青森13:43着

  14:01発普通 弘前行き

新青森14:05着

徒歩であおもり健康ランドへ向かい、サウナ、サ飯を満喫

www.aomorikenkouland.com

新青森17:44はやぶさ42号 東京行き

東京21:04着

 

2.  信州でそばと栗を堪能する旅

東京9:32はくたか509号

長野11:03着

soba-bocchi.jp

本格的な戸隠そばを駅から徒歩3分で味わえます。

 

長野12:44発 長野電鉄特急スノーモンキー(エリア外別料金、別途特急料金400円)湯田中行き

小布施13:07着

小布施堂本店「えんとつ」にてモンブラン朱雀を頂きます。

obusedo.com

※栗の点心朱雀は期間限定ですが、モンブラン朱雀は通年提供しています。

小布施15:00発 長野電鉄

長野15:36着

  16:20発 はくたか568号

東京17:52着

 

3.松尾芭蕉の足跡を辿る旅

~1日目~

東京9:08発 はやぶさ11号 新青森行き

仙台10:39着

  10:50発 やまびこ53号 盛岡行き

一ノ関11:23着

   11:30発 東北本線 普通盛岡行き

平泉11:37着

  11:49発 岩手県交通バス(別料金)イオン前沢店行き

中尊寺11:59着 

中尊寺毛越寺参拝、境内のかんざん亭で昼食)

chusonji.or.jp

hiraizu-meets.com

中尊寺発14:38 岩手県交通バス 一関駅前行き

一ノ関15:02着

   15:48発 やまびこ66号 東京行

仙台 16:23着

(仙台で1泊)

~2日目~

仙台9:12着 仙山線 快速山形行

山寺10:13着

立石寺参拝、山寺駅前でそばを頂く)

rissyakuji.jp

山寺12:21発 仙山線 快速仙台行

仙台13:21着

  14:09発 仙石線 松島海岸行

松島海岸14:48着

日本三景 松島の眺望を楽しむ)

www.matsushima-kanko.com

松島海岸16:44発 仙石線 あおば通り行

仙台 17:22着

駅構内で夕食。寿司、牛タンの専門店街があるほか、東口すぐの半田屋もおススメ

牛たん通りすし通り|JR東日本東北総合サービス株式会社【LiViT】

www.handaya.jp

仙台ローカルの大衆食堂で、小鉢を自由に選べるセルフサービススタイル。

仙台 18:57発 はやぶさ40号 東京行

東京 20:32着

 

日程に合わせて、アイデア次第で無限の旅程が組めるのがキュン♥パスの魅力。

日帰りでも十分満足度の高い旅ができるので、一日だけ有給をとって・・なんて使い方も可能です。

 

まだ時間はあるので乗車日の14日前までに購入という点に注意し、是非自分だけのベストプランを練ってみてください!

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本 高級住宅地立地論2

みなさんこんにちは。

 

前回に引き続き、日本の高級住宅地を地域別にみていこうと思います。

 

横浜・・・山手町

地元横浜が誇る高級住宅地なので紹介させてください(笑)。

 

青葉区美しが丘や逗子市披露山も候補に上がりましたが、やはり愛着のある山手にしました。

最寄り駅はJR根岸線石川町駅orみなとみらい線元町・中華街駅

元町商店街から急こう配の坂を上り切った先にあります。

山手町の尾根に当たる「山手町本通り」。ここに旧邸や高級住宅が集中している

江戸時代末期、1858年に日米修好通商条約が締結され、翌1859年に開港した横浜港。外国人の居留地を確保するために選ばれたのが山手の地でした。かの有名な生麦事件を受け外国人と市民と居住地を分けるという機運もあり、わざわざ不便な高台になったのでしょう。居留人からは親しみを込めて、THE BLUFF(日本語で崖の意。)と呼ばれていたそうです。

1923年の関東大震災では甚大な被害を受けたものの、第二次世界大戦中は戦禍を免れ、戦後住宅開発が進みます。その間、高層マンションの開発が相次ぎ、地元が反発。緑美しい、居留地時代より続いた街並みを守るべく、1962年「山手地区景観風致保全要綱」作成。2020年には「景観計画・都市景観協議地区」が施行され、現在の美しい景観が維持されています。

山手地区の景観計画・都市景観協議地区 横浜市 (yokohama.lg.jp)

対象区域内の住居の新設、改築に制限がある。
今では、エリスマン邸やベーリックホールといった貿易商が暮らしていた邸宅が公開されていて、無料で見学することができます。外国人墓地があるなど異国情緒高いエリアな一方、横浜女学院高校や横浜雙葉高校、フェリス女学院高校など女子高が集中しており、文教地区の一面もあります。

1930年代に建てられた旧外国人邸宅の影響もあり、近隣には洋風の住居が目立ちます。

山手本通りから南側に下る道に大規模マンションもあります。ただし、景観を阻害しない洋風な外見となっており、周辺と調和しています。

いつ行っても魅了的な山手ですが、個人的には桜が散った後のローズウィーク(5/6~21)と、クリスマスの時期に行くのがお勧めです。坂の道中にベーグルが有名なブラフベーカリーというパン屋があるので、是非立ち寄り、パン片手に山手散策を楽しんでください。BLUFF BAKERY

 

名古屋・・・覚王山(かくおうざん)

西日本に片足を入れましたね。

覚王山フルーツ大福 弁才天」で有名な覚王山は名古屋の地名なのです。

ここ覚王山、八事(やごと)が中京圏のハイソエリアとなっています。

位置は、名古屋駅から地下鉄東山線で16分、東へ7.8㎞の距離にあります。

名駅、栄といった中心地、千種のような乗換駅に一本でアクセスでき、至便な場所であることがわかります。近隣には名古屋大や南山大といった有名大学もあり、文教地区の側面もあります。

駅近くにはスイーツ専門店が密集しており、域外から人を呼び込む観光地要素もある町です。そういう意味では、山手に似てますね。

覚王山日泰寺HPより引用(施設・境内図│覚王山 日泰寺│奉安塔,本堂,普門閣,五重塔,山門,鐘楼,墓地(屋外墓地),霊堂(室内墓地),舎利殿,僧堂 (nittaiji.or.jp) 

覚王山」というなんだか強そうな地名ですが、駅の北側にある寺院「覚王山 日泰寺」がその名の由来となっています。住所名としては覚王山は存在せず、千種区山門町、法王町が対応しています。長野の善光寺下のような「門前町」と位置付けてよいでしょう。

中心地に近いエリアにもかかわらず、土地を大胆に使った邸宅が。

一方、駅に面したメインストリートには中心部の周縁部に見られる中層マンションが集積しています。ここだけ見ると高級住宅地感はあまり感じられません。通勤の便が良いので単身のサラリーマン世帯が入居してそうですね。

 

大阪・・・東豊中

関西は日本一の高級住宅地の一大集積地です。大手私鉄各社の積極的な開発、関西の財界の大富豪がこぞって郊外に別荘を建てたことにより、阪急、阪神、南海、近鉄、京阪沿線に「○○園」「○○山」というハイソエリアがいくつも生まれました。特に阪急沿線は「阪神間モダニズム」という独自の生活様式、文化が根付き、上流家庭の集まるエリアとなりました。

学園前、登美ヶ丘、帝塚山、香里園、甲東園、香櫨園と枚挙にキリがありませんが、その中でも東豊中を取り上げました。

豊中と聞くと、関西地方の比較的人口の多いベッドタウンのイメージで、あまり高級なイメージは湧かないと思います。しかし、豊中を含む北摂(ほくせつ)エリアというのは関東でいう田園都市線沿線にあたる地区で、関西では住みたい街ランキングで上位に当たるのです。

位置関係はこのようになっています。実際の最寄り駅は大阪モノレール少路駅、大阪メトロ千里中央駅、桃山台駅。梅田や新大阪、伊丹空港に一本で行くことができる好立地です。また、中国自動車道新御堂筋と道路網が充実しており、車持ち世帯にもありがたい環境です。加えて北部には自然豊かな箕面(みのお)能勢(のせ)が控えており、都心へのダイレクトアクセス、新幹線や飛行機に飛び乗れる利便性、北摂の自然の豊かさを同時に享受できる優れた住宅地なのです。

東京でこの立地を求めると、3つの要素のうち1つは捨てなければなりませんが(湾岸エリアは自然の豊かさ、多摩エリアなら新幹線や空港アクセスを諦めなけばななりません)、東豊中ならこれが可能です。日本中を旅する私にとっては、なんとも羨ましい立地です。北摂が人気エリアに選ばれるゆえんも納得です。

豊中町2丁目に豪邸が集中。1~4丁目は風致地区に指定されており、建築物の新設、改築、塗装の変更に豊中市長の許可が必要です。風致地区内の許可について 豊中市 (city.toyonaka.osaka.jp)

豊中町の全体地図です。ぽつぽつと小池が分布しているのがわかると思います。

水の利が良い丘陵地帯ということから農耕地として集落が形成。1910年に箕面有馬電気鉄道(現阪急宝塚線)開業とともに、梅田へ通勤するサラリーマンの宅地として、ため池を埋め立て開発が進みました。域内の生活道路がぐにゃぐにゃ曲がっているのは、山を切り開いて宅地を造成したからでしょう。この狭い範囲に、邸宅、ニュータウン、築年数が経過している戸建て住宅が密集しています。古くから開発された住宅地なので家屋の更新も行われており、築浅の住宅が並ぶエリアもありました。地図北東に巨大なジャンクション(千里IC)があるのが特徴的です。

こうした郊外の丘陵地の景観は、私の地元横浜市戸塚区の風景と似ており親近感を感じます。

 

芦屋・・・六麓荘(ろくろくそう)

言わずと知れた、日本一の高級住宅地です。その豪華絢爛さは他の追随を許さず、圧倒的存在感を放っています。

市街地ギリギリに迫る六甲山系の麓に位置します。

最寄り駅は、阪急甲陽線苦楽園駅orJR神戸線芦屋駅。但し、ここの住民の多くが公共交通機関を使用せず、使用人の運転する自家用車で移動します。

これぞ日本一の高級住宅地の景観。六甲山を借景に電柱のない坂道が続き、手入れが行き届いた生け垣が並び、どっしりと構える大豪邸。非常に厳しい建築協定が敷かれ、住民一人一人にまで景観を維持する強い意識が浸透しています。

 

市街地を見下ろす下り坂の眺望もまた至高です。


全国屈指の高級住宅街として名高い芦屋の中でも最上位の区画である六麓荘。

甲山の麓(ふもと)に「東洋一の住宅街」を目指して開発された経緯があります。

そのモデルは香港島の斜面に設けられた白人専用居住区。1927年という黎明期ですが、大阪の財界人が足しげく現地を訪れ調査し、傾斜地における住宅地開発を学びました。

その頃は阪急電鉄生みの親、小林一三による郊外の宅地分譲が進められていた時期でもあり、人口稠密の大阪都心から、富裕層がこぞって移住してきました。中でも六麓荘は、「金儲けではなく、住民一人一人の意志で理想の町づくりをおこなう」という建町精神をもって、今日までまちづくりを進めてきました。その為、国内でも最も厳しいといわれる建築協定が敷かれ、六甲山の自然と調和した美しい景観を維持しています。

・町内に商業施設やコンビニがない

・電柱の地下化

・街路樹を設置せず、個人で生け垣を整備しなければならない

・町内会への入会(入会費500,000円)

・建築物は1区画につき400㎡以上、一戸建てとし個人専用住宅のみ

・建ぺい率40%以下、容積率80%以下

・・・いかに厳格な縛りか分かるかと思います。商業施設が一切ないため、麓のスーパーマーケット(専らいかりという高級スーパー)まで日々の買い出しに行くほど。

しかし六麓荘全体が高齢化しており、車を持たない層の生活が困難になりつつあるという社会問題も内包しています。基本的に域内がすべて坂なので、足腰の弱い高齢居住者にとっては生活しづらいのです。その為、駅近辺の利便性の高いエリアに転居するケースが目立ち始めています。

結果区画に空き家が目立ち始め、従来通りのやり方では東洋一の高級住宅街を維持することが難しくなってきました。

その為、2007年に従来の建築協定を引き継いだ「芦屋市都市景観条例」が芦屋市によって施行され、機能を行政に移管して六麓荘の街並みを守っています。一方で町内会の存在感はいまだ強く、新築増築時には町内会へ相談、近隣住民への説明会を施工主立ち合いで行うほどです。条例と建築協定、双方の視点で「六麓荘にふさわしい住居」を選定し、未来永劫美しい景観を守っていこうというわけです。

 

JR芦屋駅から徒歩30分とアクセスは若干難しいですが、一通り神戸観光を終えたら是非とも訪れるべき場所です。あくまで住宅地なのでジロジロというわけにはいきませんが、六甲山と大阪湾を借景にした豊かな眺望を一度は見ておくべきです。

 

総括

今回、1弾と2弾に分けて日本の高級住宅街を見てきましたが、ここで取り上げることができなかったものの一覧です。

日本の高級住宅街の共通点

 

1、高台に位置している

地名をみれば一目瞭然ですが、「○○台」「○○山」「○○丘」の連続です。平地の密集市街地を避け、高台の比較的広い区画に分譲する傾向があります。また、歴史的には、高台に造設することで権力を可視化したという背景もあります(城址や大名屋敷、外交官邸など)

2、中心地近接型と郊外型の2パターンがある

前者が円山、元麻布、山手。後者が泉桂、東豊中町、六麓荘。

職住近接が可能なエリア、DID(人口集中地区)を避けた、郊外の自然豊かなエリアに大分できます。

 

3、一般の住居も混在している

海外諸国比べると、絶対的貧困層が少ない日本。その分経済格差が小さく、六麓荘以外の高級住宅街にはごく普通の戸建てや団地が分譲しています。ビバリーヒルズをはじめ、世界の高級住宅街ではゲーテッドコミニティ(英Gated Community)と呼ばれる、居住者しか出入りができない住宅地があるのですが(文字通り入り口がゲートで閉ざされている)、日本においては数区画あるのみです。高所得者もサラリーマンも分け隔てなく同じ区画に住んでいるのが日本の特徴です。

 

以上、長くなりましたがお付き合いいただきありがとうございました!

 

 

 



 

日本 高級住宅地立地論1

みなさんこんにちは。

 

今回は、日本に点在する高級住宅地についてゆるく語っていきます。

 

みなさんは「高級住宅地」と聞くとどこを思い浮かべるでしょうか。関東では田園調布、関西では芦屋が全国的に有名ですが、その他にも数多存在します。高級住宅街の立地は一枚岩ではなく、都心の一等地にあるもの、郊外に計画的に造成されたもの、海外のラグジュアリーレジデンスのように住宅地全体が下界と遮断されているものと実に様々です。地域別に分けてみていきますので、興味のある方は是非読んでみてください。

 

札幌・・・円山 宮の森 

これらの地名を聞いてピンとくる人は多くないと思います。どこにあるのか、脳内地図がエラーを起こしそうです。札幌市街地のやや東より、観光地でいうと、北海道大神宮や円山動物園があるエリアです。JR札幌駅からは車で20分ほどの距離にあります。

 

 

地下鉄駅(円山公園駅)から山を登る必要があるためややアクセスに難があり、円山はともかく宮の森は車での移動が前提となります。このような地理的なハードルは浮浪者の侵入を物理的に防いでおり、高級住宅地の特徴の一つです。米ロサンゼルスのビバリーヒルズの立地を考えると明らかだと思います。

宮の森 本郷新記念館札幌彫刻美術館に続く道。石畳が美しい。

1972年の札幌冬季オリンピックで使用された、大倉山スキージャンプ台があるのもここで、中心地に近い地区ながら豊かな自然に囲まれてます。屯田兵期、新潟県からの入植者により開発され、1929年には秩父宮雍仁親王がスキーを楽しむなど皇室とゆかりのある地区(宮の森という地名の由来)でもあります。札幌都心の眺望を四季折々の風景と交えながら楽しめる円山、宮の森地区は北海道の住みたい街ランキングで常に筆頭に上がります。2022年8月に竣工した高級マンション「プロスタイル札幌 宮の森」は建築界の巨匠、隈研吾氏による設計で大いに話題を呼びました。外壁に道南の間伐材を取り入れ、木のぬくもりを感じるラグジュアリーレジデンスは存在感がありながらも、原生林の風景に調和していて素敵です。本州では味わえない北海道の豊かさを体現しているかのようです。

【公式】プロスタイル札幌 宮の森|新築分譲マンション|デザイン (prostyle-residence.com)

 

仙台・・・泉パークタウン

これまたさらに「どこ?」となりそうな地名です。

仙台市北部の副都心、泉中央(東北の雄、仙台を分解する - えだ (hatenablog.com)参照)の北西に位置する高級住宅地です。先述の札幌宮の森・円山を都心立地型とするなら、仙台・桂は郊外立地型となります。高度経済成長期の1969年に造成された泉パークタウンの一角に位置し、同エリア内にアウトレットモール、高級ホテル、ゴルフ場を有する東北きってのハイソエリアになります。

 

厳格な紳士協定(域内のルール)が敷かれ、電柱が設置されていない桂ガーデンコートの景観。

その中でも庭園街区「桂ガーデンコート」は秀逸で、平屋二階建て住宅と整った街路樹で統一された景観に圧倒されます。「閑静な住宅街」というワードがぴったりです。

こちらは桂ガーデンコートと双璧をなす紫山エリア。メタセコイア並木が海外感ありますね。

泉パークタウンJR仙台駅から北に10㎞の距離があり、こちらも車以外のアクセスが難しいエリア(公共交通を使うと、地下鉄+バス+徒歩で50分ほど)。住居者以外の進入を遠ざける立地にあります。さらに紫山はパークタウン内で一番北はずれにあり、その先は深い森で覆われています。悪く言えば閉鎖的ですが、治安、ブランドイメージの維持を考えると納得です。

 

東京・・・元麻布

言わずもがな東京都心の超一等地です。

麻布台、南青山、白金台、番町と並ぶ高級住宅街の一つです。

JR東京駅から南西に約6㎞、最寄りは麻布十番駅広尾駅

驚きなのが大使館の多さ。韓国、フランス 、中国、ドイツと半径500m以内に集中しており、行き交う人も駐在風の外国人が多いです。大使館の立地を見てくと、見晴らしの良い高台が選ばれる傾向があり、麻布、三田、高輪、渋谷の坂上に多く構えられています(日本との関係が微妙な国ほど、建物前の警備が露骨に厳重なのが面白いです)。

そのこともあってかインターナショナルスクールや輸入物のスーパーが充実しているのが元麻布の特徴です。

韓国大使館

麻布十番商店街から急傾斜の坂を上り切った先に見えてくるのが「元麻布ヒルズ」。上層階に行くほど面積が大きくなる特徴的な構造となっています。

 

 

低層の高級マンションが続きます。築年数が結構いってそうなオールドマンションも多いです。こうして写真を見てみると、宮の森のほうが高級住宅街ぽい景観ですね。実際、元麻布はごく普通の戸建て住宅や賃貸マンションも混在しており、東京都心にありがちな景観となっています。しかしやはり天下の元麻布、1㎡あたりの地価は宮の森の14倍、約225万円。普通の戸建てに見えても超富裕層でないと住めないというわけです。

奥まった路地に行くと、このような美しい景観も。

東京・・・松濤(しょうとう)

東京のもう一つを決めるにも苦慮しました。南平台、田園調布、成城、尾山台と都心以外にも数え切れないほどあるのです。その中でも、風格漂う松濤をピックアップしました。

場所は、渋谷センター街を抜けた先、旧東急本店の裏手に位置します。若者で賑わう宇田川町と隣接しているとは思えないほど閑静な住宅街で、住居者以外の流入はまばらです。ほぼ同じエリアといえる富ヶ谷には故・安倍晋三元首相の公邸があり、公道の入口から厳重な警備が敷かれています。

元麻布よりも「豪邸」「邸宅」が多い印象です。港区の一等地よりかは家賃が下がるので、専有面積が大きく作れるのでしょう。それでも1㎡の地価は約170万円で、土地代だけで億をゆうに超えてしまいます。どの家も高い壁に覆われており、シャッター付きのガレージがマストで完備されています。すごい。

かつては、東急百貨店東急本店が松濤住民御用達の買い物スポットでしたが、2023年1月で閉店しました。渋谷の顔ともいえる百貨店が無くなるのは残念です。今の松濤の人々はどこで買い物するのでしょうか。

 

 

次回、西日本を中心に紹介していきます。お楽しみに!