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東北の雄、仙台を分解する

みなさんこんにちは。

本日は前回の札幌に続いて宮城県仙台市を丁寧に紐解いていきたいと思います。

 

西日本に行けば行くほど知名度がない街

 

関東地方に住んでいると、「東京から新幹線で1時間半くらいで行ける東北最大の都市」「宮城県に属している」「楽天イーグルスの本拠地」という基本的な認識のある仙台ですが、私の周りの西日本出身者で、仙台の場所を知っている人は一人もいませんでした。札幌はもうそれは全国区の知名度ですが、都市規模の割に知名度がないのがここ仙台です。

簡単に解説します。

東北地方唯一の政令指定都市であり、令和4年度の市の人口は約109万人を数えます。この数値は同じ東北地方の秋田県(約93万人 令和四年度 )や山形県(約103万人 令和5年度)よりも多く、宮城県全体の約半数を占めます(宮城県 約226万人 令和5年度)。同じ東北地方内で仙台への集中とそれ以外の過疎が進んでいるのが特徴です。

5つの区(青葉、泉、太白、若林、宮城野)を有し、市域に奥羽山脈という山岳地帯を有しており、本格的な温泉やスキーを市内にいながら楽しむことができます。一方の平地側は太平洋に面しており、東北の中では温暖で降雪量が少なく、生活しやすい街となっています。日本はもとより、世界的な豪雪地帯であるである青森と同じ地方とは思えないほどです(それでも東京よりは降ります)。伊達政宗公が開発した街というイメージが強いですが、一方で「阿Q正伝」を出筆した魯迅を輩出した東北大学が置かれるなど、学術都市としての一面もあります。

 

便利な駅前、存在感のある副都心

 

新幹線で仙台に降り立つと、その都会さに驚きます。充実した駅直結の商業施設「エスパル」、パルコ本館と別館もありますし、日本最大のペデストリアンデッキ(歩行者専用デッキ)を渡った先にはハピナ名掛丁という巨大アーケードがあり、若者でにぎわっています。かつて駅裏と呼ばれた東口エリアも再開発が進み、6月には梅田店や秋葉原店と同じ規模となったヨドバシカメラ仙台店が再オープンしました。仙台は近隣の山形や福島と結びつきが強いうえ、新幹線を介して東北地方すべての県から日帰りで来ることができます。その商圏人口は約500万人であり、ダイレクトアクセス可能な仙台駅前はまだまだ伸びる余地のあるエリアなのです。

そんな駅前から10キロ圏内に2つの副都心が存在します。

泉中央・・・旧泉市から仙台市へ昇格。北側の副都心。仙台駅から地下鉄で16分の距離で、仙台北部のターミナルとなっており多数のバス路線が乗り入れています。駅前には「アリオ仙台泉店」と「セルバ(複合商業施設)」があり、買い物導線が抜群に良いです。すぐ南側にはベガルタ仙台の本拠地であるユアテックスタジアムや七北田公園があり、文化面でも優れている地域です。駅前からは離れますが、車で15分の距離に仙台泉プレミアムアウトレットがあり、休日の過ごし方の選択肢が広がります。

長町・・・仙台駅からJRで一駅4分。南側の副都心で、仙台市内で最もアツいエリアのひとつです。国鉄時代の操車場の跡地に作られた「あすと長町」という再開発地区には近年タワーマンションの建設が相次ぎ、人気となっています。ゼビオアリーナ仙台、イケアといった広大な敷地を生かした施設が地域のにぎわいを創出しています。地下鉄でさらに西に一駅行った長町南には、「ザ・モール仙台長町」「ララガーデン長町」という二つの大きな商業施設があり、買い物の利便性は申し分ないです。

 

個人的には、性格が異なる2つの副都心が市の南北にバランスよく位置し、多様性を与えているのが仙台最大の魅力と考えています

もし私が仙台に住むならこの2つから選ぶのですが、正直どちらも同じくらい魅力的で選べないです(笑)強いて言うなら、仙台駅4分、仙台空港19分の利便性を誇る長町に軍配が上がります。車を持っている方なら、アウトレットや泉岳のスキー場にアクセスできる泉中央がお勧めです。

欠点もある

東北地方の中では気候が穏やかで過ごしやすい。「杜の都」と呼ばれるほど市街地の緑化が進んでいる。コンパクトな都心と充実の副都心、郊外に足を延ばせば温泉、アウトレット、スキーを手軽に楽しめる。東京からも容易にアクセスできるといいことづくしの仙台ですが、問題点もあります。

①必ず降雪がある

 あくまで積雪ほぼ0の東京基準ですが、毎年のように雪が降ります。スタッドレスタイヤや雪用靴は必須です。

②坂が多い

仙台駅より東側はほぼ平地ですが、西側や泉エリアは坂ないし”山”です。仙台と山形を結ぶJR仙山線は秋口になると落葉でスリップをおこし、遅延します。

③市営バスの廃止で不便になった

2015年に南北線に次ぐ2番目の地下鉄として八木山動物公園~荒井間で開業した仙台市営地下鉄東西線。丘陵部にある観光地「八木山ベニーランド」と点在している東北大学の各キャンパス、繁華街の一番町~仙台駅と工業が盛んな卸町を一本で結ぶ路線として脚光を浴びました。東西線の開業で、これらの性格が異なる地域同士のアクセスが格段に良くなり、交通渋滞が緩和されたのは事実です。しかしこれにより、重複するバス路線が廃線、減便となり市民生活に影響が出ています。特にデメリットなのが仙台駅直通便がなくなったケース。八木山、青葉山といった山がちなエリアから乗り換えなしで仙台駅までいけたのが、斜面を上り下りして地下鉄駅まで行き、さらに高低差のあるホームまで降り、さらに仙台駅で再び地上に上がるという事態となっています。

このような現象は、今年3月に延伸開業した福岡地下鉄七隈線でも起きています。博多駅まで延伸され県外から福岡大学方面へのアクセスが改善された一方、西鉄バスの減便、廃止が相次ぎました。バスしか交通手段のない団地から天神への行き来が困難になったというニュースが印象的でした。

以上、東北の雄、仙台を分解するでした。個人的には、都会さと本格的なレジャーが楽しめる自然がちょうどいいバランスで両立する数少ない都市ということで、一度は住んでみたいです。コンクリートジャングル東京で消耗し、週末も遠出しなければ自然に触れられない身としては羨ましい限りです(笑)

最後までお付き合いいただきありがとうございました!