Ge男

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20年で都道府県人口はどう変わったのか 見ていきます

みなさんこんにちは。

今回は、個人的に感覚をアップデートしなければなと思い書いています。

というのも、私が小学校の頃(今から約20年前)覚えた各都道府県の人口と2024年現在の人口が大いに乖離しており、「○○県は○○万人くらいだったな」という指標が通用しなくなっているからです。例えば、2000年の福島県の人口は約214万人帝国書院出版 新編 中学校社会科地図より)であったのが、2023年12月現在では約176万人

まで減少しています。「200万人よりちょっと上」という認識から切り替えないといけないわけです。

また、群馬県民なら誰もが空で言える「上毛かるた」でも改編を余儀なくされおり、「ち」の札を「ちからあわせる二百万」から「ちからあわせる百九十万」に差し替えて販売しています。それだけ人口が減ったという事ですね。

いまや日本は東京、沖縄を除き全ての都道府県で毎年0~4.7%ずつ減少しており、数少ない増加県であった宮城、埼玉、神奈川、滋賀、大阪、福岡が既に脱落しています。

人口=経済ですから、働き手や買い手がいなければ企業やお店は立ち行かなくなり、住民税を収める市民がいなければ、行政サービスは崩壊します。

近年では、限界集落を「村おさめ」し、中心市街地にインフラや行政、福祉を集約する「コンパクトシティ構想」がしきりに叫ばれていますが、このままいけば現実味を帯びていきます。将来的には管理が行き届かない道路は通行止めになり、橋脚が崩壊しても放置するとか、、。

前置きが長くなりましたが、地方別に人口増減を見ていきましょう。

 

B÷Aは、2000年人口に対する2023年人口の割合を表しています。

北海道の2023年の人口は2000年の約90%(10%減)という意味です。

秋田、青森がそれぞれ76%、79%と全国ワースト。若者が就業を希望する仕事が少なく、仙台や東京に人が流れているのが現状です。北海道の減少は緩やかに見えますが、札幌への一極集中と、炭鉱や鉄鋼、製紙を主産業とした都市の衰退が同時に起きており、明暗がはっきりとしています。

続いて関東地方です。東京の人口増は圧巻で、23年で226万人増加。一方、コロナ禍ではテレワークや地方移住が浸透し、一時転出超過になりました。神奈川は長年人口第2位であった大阪を抜き、唯一の900万人台を達成。群馬、栃木は200万人台から転落。

中部地方を見ていきましょう。三大都市の名古屋を抱える愛知のみプラスを維持しています。北陸県、新潟がやや減少幅が大きいのがわかります。静岡は94%と健闘していますが、北部に山間部を多く抱え過疎に悩んでいます。政令指定都市浜松(市域に山岳地帯を有する)の行政区再編のニュースは衝撃を受けました。

近畿地方です。大阪府はプラスを維持していますが、関西経済の停滞、東京への流出で2%増にとどまっています。一方、うめきたエリアと中心とする都心部の再開発が活発で、個人的には東京都心と勝るとも劣らない魅了作りがされているなと思います。

JRの新快速で梅田、京都へのアクセスが便利な滋賀は長年人口増に恵まれてきました。しかし、立命館大びわこ・くさつキャンパスの一部移転に伴う学生の転出など不安材料もあり、2023年だけみれば人口減となりました。京阪神から遠い和歌山の減少幅が大きく、100万人の大台から転落。

東北に次いで減少幅の大きい中四国地方。

人口増の県はありませんでした。

農業、漁業といった第一次産業の割合が大きい高知県は23年で20%減。後継者不足に悩まされています。

四国内では奮闘している香川も89%止まり。高松市の中心商店街「丸亀町商店街」は天井を高く作ったアーケード街が話題を呼び、地方都市の商店街の成功例として話題を呼びました。サンポート高松の再開発もあり、都市の魅了度は40万人都市では一番ではないかでしょうか。今後いかに若い世代を呼び込めるかが勝負です。

政令指定都市を抱える広島や、中四国のターミナルとなっている岡山も軒並み減少となっています。

最後に九州沖縄地方です。

成長著しい福岡がけん引しているかと思えば、3%増にとどまりました。福岡市は右肩上がりで人口が増えている一方、製鉄を主産業にしてきた筑豊諸都市や大牟田市が大幅に人口を減らしているためです。

長崎もまた、基幹産業の造船、製鋼が不振となり人口が流出、18%減です。

11%増の沖縄は地域全体で子供を育てるという文化が根強く、出産のハードルが低いという他県とは異なった事情があります。一人っ子ファミリーは少数派で、2人兄弟3人兄弟は当たり前。それゆえ生活費が重くのしかかり貧困に陥る家庭が増えてきており、社会問題となっています。母子家庭も非常に多いです。

 

人口問題は一朝一夕には解決できるものではありません。

一人息子に集中して教育費を割き難関大学にいれるという風潮もそうですし、晩婚化、共働き世帯の増加、そもそもの若者の結婚離れ。この流れを変えるのは一個人の努力では難しいですし、政府が政策を打とうにも予算には限界があります。

「これだ!」という解決策はないので、ある程度人口減少を受け入れ一人一人の生産性を高めていくのが現状に即した対応になってきます。満員電車や渋滞が無くなるかもしれませんし、一人当たりの専有面積が増え、同じ家賃でもっと広い部屋に住めるかもしれません。ディズニーランドの長い順番待ちやショッピングモールの混雑から解放されれば、休日の満足度が上がるかもしれません。頭の痛い問題ではありますが、柔軟に思考を切り替えて向き合っていくべきだと思います。

 

長くなりましたが、今回は約20年前と比較しながら人口問題を解説してきました。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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