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JR北海道 2024ダイヤ改正 ~北の果敢な挑戦~

みなさんこんにちは。

毎年この時期(出筆は12月中旬)、JR各社来年3月に実施されるダイヤ改正が出そろう時期です。路線、列車、駅の廃止、新設をメインに新サービスの情報、運賃の改変など内容によっては一喜一憂してしまう事も。

各社トピック

JR北海道・・・快速エアポート増発&区間快速エアポートの新設、ICカード「Kitaka」エリア拡大

 

JR東日本・・・普通列車グリーン車の実質値上げ、京葉線快速廃止

 

JR東海・・・特急「しらさぎ」運行区間を名古屋~敦賀間へ短縮、中央本線130km/h運転化

 

JR西日本・・・北陸新幹線 金沢~敦賀間延伸開業、大和路線通勤特急「らくラクやまと」新設

JR四国・・・パターンダイヤ、徳島駅でのタクトダイヤ(相互接続)導入

JR九州・・・813系電車ロングシート化、特急「ソニック」夕方の福間停車拡大

 

いろいろ気になるところはありますが、今回はその中でもJR北海道に焦点をあて解説していきます。f:id:shidare225:20231219203954j:image

1.主要特急列車の全席指定化

これ、かなり思い切ったなと思います。実際には、今年(2023年)11月に発表されていた内容ですがインパクトが大きので取り上げました。

北海道新幹線の存在感がまだまだ限定的で、JR北海道鉄道事業の根幹の一つとなる在来線特急。都市間輸送、とりわけ札幌-旭川間の自由席の人気は根強いです。それゆえ車掌の検札業務は多忙を極め、最近では車掌2人態勢で車内放送と検札を分担しているケースもあります。加えて、指定席券売機を操作できない高齢者やインバウンド観光客がみどりの窓口に長蛇の列を作る光景もよく見られます。
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こうした昨今の事情を鑑み、今回の全指定席化に踏み切ったのでしょう。

時間が読めない際とりあえず来た列車に乗ればいい、短区間乗車時の節約などのメリットが多い自由席ですが、JR北海道という一企業としては人件費の割に煩雑な業務が増える不合理な制度なのです。f:id:shidare225:20231219204142j:image

今回、函館方面の「北斗」、室蘭方面「すずらん」、釧路・帯広方面「おおぞら」

帯広方面「とかち」が全車指定席化となり、需要の多い旭川方面「カムイ」「ライラック」は自由席を2両にまで減らします。

「実質的な値上げ」と批判されそうですが、えきねっとを利用した大幅割引きも拡充されます。

JR北海道HPより引用
さらに、札幌~旭川間のえきねっとチケットレス化も始まります。混雑する区間だけに、窓口や指定席券売機での受け取りが不要になるのは歓喜です。

2.快速エアポートを毎時6本に増発&区間快速エアポートの新設

個人的には嬉しさ半面悲しさ反面です。

単純に10分に1本来ることになり、新千歳空港駅では常に列車が待機している状態となります。空港発の着席率が上がるのは間違いないです。大きくて重い荷物を抱えているとき、座れるのは本当にありがたいですよね。また、特別快速エアポート(千歳、恵庭、北広島通過)の拡充も嬉しいです。f:id:shidare225:20231219204248j:image

一方で、増加するエスコンフィールド利用客を救済する目的で「区間快速エアポート」なるものが新たに設定されました。厄介なのが上野幌を除く新札幌~新千歳空港間が各駅停車になる点。従来の快速エアポートの所要時間が新千歳空港~札幌間37分なのに対し、区間快速エアポートは43分と6分も延びます。ちまちま停車したうえ北広島でエスコン勢で満員になるので、体感の所要時間はますます延びそうです。

JR北海道HPより引用

しかしながら、快速エアポート普通列車、道東・胆振・道南へ向かう特急、貨物列車がひしめく中ギリギリまで千歳線の増発に踏み切ったのは勇気のある決断です。鹿などの野生動物との接触、大雪といった遠方の遅延がダイレクトに影響する路線ですからね。

実現できるかはさておき、個人的には貨物列車の室蘭本線迂回、南千歳~新千歳空港間の複線化、千歳線複々線化を期待しています。北のドル箱路線(赤字ですが)千歳線はまだまだポテンシャルを秘めています。

3.交通系ICカードKitaca」のエリア拡大

これは意表を突かれました。すごい。冬季の施設費用が莫大で、設備投資を少しでも抑えたいであろうJR北海道ですが、よくやったと内心ガッツポーズでした。

今回拡大されるエリアは函館本線岩見沢旭川間、新函館北斗~函館間。

いずれも観光やビジネスで非常に需要の高いエリアなので、より乗客の流動をスムーズにするうえでIC化は理にかなっています。特に新函館北斗はせっかく新幹線→在来線の(ほぼ)対面乗り換え体制が整っているのに、切符を取り出す必要があり煩わしさを感じていました。新幹線乗車券・特急券をeチケットで購入すれば、東京から函館までチケットレスの移動が実現します。これは素晴らしい。

いくら函館本線といえど廃駅があるのに(2021年 伊納駅など)と思ってしまいました。これぞ”選択と集中”。当然、無人駅にも端末が設置されます。

4.快速エアポート全列車桑園停車

これも衝撃を受けました。NO.2に組み込めばよかったのですが、別枠で紹介させてください。

桑園駅は札幌駅のひとつ小樽よりの駅で、JR北海道本社、札幌競馬場の最寄り駅です。

快速エアポートの通過駅ではJR北海道最大の乗車人員を誇る駅で、自分の中では「永遠の通過駅」でした。観光客が大挙して訪れる小樽への速達性を維持するためですね。

しかしながら、人口増によるマンション開発の増加、学園都市線との乗り換え利便性強化といった観点から、2024年のダイヤ改正から停車に踏み切りました。f:id:shidare225:20231219204406j:image

優等列車が止まっても全然おかしくない利用客(乗降17,226人 R4年JR北海道の駅別乗降客数ランキング (statresearch.jp))ですし、乗換駅なので、妥当だと思います。

一方、札幌駅からの着席率が下がる懸念はあります。一本見送り札幌始発の快速エアポートを狙う、Uシートを予約をするなどの工夫が求められます。

 

以上、JR北海道2024年ダイヤ改正について解説しました。

今後も各地域の鉄道事情について取り上げていきたいと思っているので、購読リスト登録、是非お願いいたします!

 

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