三大都市圏の”あの”都市を比較してみた
みなさんこんにちは。
突然ですが、今回は三大都市圏(首都圏、中京圏、関西圏)に属するある二つの都市を比較検証していきたいと思います。
というのも、双子のように立地特性が似ている都市で、調べてまとめてみたら面白いなと思ったからです。中心都市と主要都市の中間にあり、JRと私鉄が相互に伸びておりベッドタウン化している両市。どうでしょうか、皆さんは思いついたでしょうか。
関東に住んでいるといまいちピンとこない地名です。
無理くり当てはめると、浦和であったり川崎が該当でしょうか。
一宮は名古屋と岐阜の中間、高槻は大阪と京都の中間に位置します。どちらもそれなりに規模が大きい街でJRの優等種別が停車する”無視できないポジション”。県庁所在地都市並みの人口を有し、対中心都市への通勤需要も大きい両市。次章以降でもう少し詳しく見ていきます。
1.人口
高槻・・・346,972人※高槻市の人口(令和5年) - 高槻市ホームページ (city.takatsuki.osaka.jp)
一宮・・・377,966人※最新の人口|一宮市 (city.ichinomiya.aichi.jp)
どちらも中核市に指定され、政令指定都市に次ぐ重要な都市という位置づけ。ほとんど互角の人口ですね。
2.場所
まずは一宮の位置関係です。若干岐阜よりですが、ほぼ名古屋と岐阜の中間地点であることがわかると思います。JR新快速で名古屋まで17㎞、14分。岐阜まで13㎞、9分という利便性です。名鉄を利用し、中部国際空港(セントレア)まで乗り換えなしで行くことも可能です。
続いて高槻です。きれいに中間地点に位置していますね。
大阪までJR新快速で21㎞、16分。京都まで21㎞、13分。高槻に住んだら、通勤は梅田、休日は京都といったライフスタイルが実現しそうです。阪急も利用でき、京都中心部の烏丸(からすま)、河原町のアクセスも楽ちん。
3. 駅乗車人員
JR高槻駅・・56160人(データで見るJR西日本2023:駅 (westjr.co.jp))
阪急高槻市駅・・25131人(駅別乗降人員 | 駅別乗降人員 | 阪急電鉄 (hankyu.co.jp))
JR尾張一宮駅・・27300人(JR_MEDIA_GUIDE 2020 (jrta.co.jp))
名鉄一宮駅・・15194人(r4_torikumihokoku_eki.pdf (meitetsu.co.jp))
駅利用客の多さは高槻が2倍近く多いという結果に。関西圏と中京圏では(通勤)人口の母数が比較にならないほど違いますし、中京圏がどちらかというと車社会というのも理由として挙げられます。
JR高槻駅は、他路線へ乗り換えできない単独駅としてはJR西日本最大の乗車人員となっています。
4.立地する商業施設
高槻・・松坂屋、阪急百貨店、アクトアモーレ、たかつき阪急スクエア、イオン高槻
一宮・・アスティ一宮、イオンモール木曽川
JR高槻駅南口~阪急高槻市駅の間は、「高槻センター街」「松坂屋」を中心に高密度の商業集積地となっています。路上駐輪の自転車が多く、買い物客でごったがえす「大阪ぽい光景」が広がっているエリアです。
一方のJR高槻駅北口は、タワーマンション直結の「アクトアモーレ」、「たかつき阪急スクエア(旧高槻西武)」といった複合施設が充実。混沌とした雰囲気の南口とは対称的に、整然とした落ち着いた雰囲気となっています。一方、古くからの商店街である「芥川商店街」も健在です。
一宮は30万都市の割には駅前の商業集積が弱く、市域東部の一宮バイパス寄りに市街地が流れている印象。
JR尾張一宮駅側の駅ビル「ⅰビル」は真新しさが感じられる斬新な作りで、商業施設「アスティ一宮」や図書館が入居する複合施設となっています。仕事帰りに寄って本を借り、惣菜を買って帰るといった暮らしが実現しそうです。
やはり一宮の商業の要は「イオンモール木曽川」なのでしょう。通勤ではJRや名鉄を利用し、休日の移動や買い物は車というライフスタイルが浮かんできます。
なんとなく、中京圏の名古屋以外の求心力の弱さが見えてしまった気がします。
5.両市の見どころ
高槻は関西では「都会と田舎両方楽しめる街」と評判です。
駅前の繫華ぶりは先述の通りですが、一方で市域を流れる芥川の上流には「摂津峡」と呼ばれる渓谷があるくらい自然が豊かなのです。
大阪京都へのベストアクセスを確保しながら、大自然にも触れることができる。ワークライフバランスを重視する方には高槻という選択は大いにアリです。
余談ですが、「ライフガード」で有名な飲料メーカー「チェリオ」はここ高槻が発祥です。小さい頃よく飲んだ方も多いのではないでしょうか。
一宮は知る人ぞ知る「毛織物産業」の世界的な集積地です。
服好きな方ならピンとくるかもしれませんが、「尾州(びしゅう)ウール」というブランドは、ここ一宮が一大拠点です。
イギリス、イタリアと並ぶウールの産地と知って正直驚きました。
市域を流れる木曽川の水利と一大消費地である名古屋が近いという地の利を活かし関連企業が集まり、世界的な産地へと押し上げれられたのです。ファッション産業は市場志向型(大都市立地型)の産業ですからね。
セレクトショップに行くとちらほら、尾州ウールを使用したアウターやシャツが販売されています。品質が高いので高額な傾向がありますが、一着は手に入れたいものです。
6.まとめ
今回は、人口と立地がとてつもなく似ている大阪府高槻市と愛知県一宮市を比較検証してみました。蓋を開けてみると全然違う性格を持つ市なのが面白いですよね。
この検証を通じてやや暴論ですが、「関西圏は中心市街地以外のベッドタウンも駅前が賑わっている」「中京圏の名古屋以外のベッドタウンは駅前施設は最低限で、車所持が必須」という2つの都市圏の決定的な違いが明らかになりました。大都市の企業に勤めながら車も所持している方は、平日は一宮から名古屋へ鉄道で通勤し、休日は車で買い出しやレジャーに出かけるとQOLが高いのかなと一人妄想しました。