Ge男

地理をエンタメに!地域の事象や旅について語る

地理学は敷居が低く裾野が広い学問

 

 

「安っぽい」「そんなことない」「地理ってただの暗記科目でしょ?」

耳を立てればいろんな声が聞こえてきそうです。しかしこれは、「私が大学で4年間地理学を学び、社会人になっても四六時中地理の事を考えた」末にたどり着いた見解です。

実際問題、受験生を悩ませる「ケッペンの気候区分」などの公式はありますが、基本的には地理学は「視野に入ってくる景観を読み解く」学問であり、門戸は決して狭いものではありません。景観というのは常に地球の活動もしくは人間の活動により形成されるものであって、私たちが朝起きてから夜寝るまで目にしている光景全てが対象となります。地名を人よりも多く知っていることが重要なわけではなく、「なぜこの景観が生まれたのだろうか」という視点が必須になってきます。f:id:shidare225:20240210160630j:image

例えば、モンゴルの遊牧民の居住するパオ(ゲル)と、地中海沿岸の白亜の住居では起床して天井を見上げた瞬間から光景が全然違いますし、同じ日本でも沖縄、東京、北海道では玄関から一歩出たら全く違う景色が広がっています。気候、地形の形成背景も異なるので、山の険しさや温度は違いますし、土の色や砂粒の大小もそれぞれです。その差異を見出すのが地理学の本質です。その為、大学の授業では座学だけではなく巡検(フィールドワーク、現地調査)がカリキュラムに盛り込まれ、ゼミ単位で宿泊をともなう調査が実施されます。

一日の生活の中で目にする景観、体で感じる気候一つ一つが地理学の対象なので、敷居が非常に低いのがわかるかと思います。「東京は今日晴天だけど、日本海側の新潟はどうだろう」とか、「ここの川はなんであんなにぐにゃぐにゃ曲がっているのだろう」とか。そこら中にゴロゴロと地理学の原石が転がっているのです。

また、これは持論ですが地理学は自分の興味がある分野と紐付けて研究できる数少ない学問だと考えています。

例えばディズニーが好きなら、「ディズニーランド入園客の日帰りできる限界地点」を調べたり、「アラジンのモデルとなっている国の現在の様子」をテーマに植生や気候、食文化、治安を取り上げて書けばいいのです。

ファッションが好きなら、「原宿と下北沢の街の形成要因の違い」で立派な論文になりますし、「輸入古着の国別内訳」というテーマもワクワクします。

ほかにも、ポケモンGOの元となった位置情報ゲームや、アニメの聖地、マラソン、雑誌「Hanako」をテーマに卒業論文を書いたゼミ生もいました。f:id:shidare225:20240210160737j:image

大学でやりたい事が決まっていない高校生はとりあえず地理学科に入学し、自分の趣味に即した研究をすれば良いと思います。入試で地理Bを選択していなくても、47都道府県言えなくても受け入れてくれる懐の広さがあります。

ちなみに、異様に敷居が低い学問ではありますが、扉を開けた先には地平線の彼方まで海原が広がっているのが地理学の面白いところです。深く掘り下げようとすると、地形学、宗教学、文化人類学、地学、歴史学建築学、都市計画、農業、防災といった学問に抵触し、そちらの知識も身につけなければならないからです。これらは氷山の一角で、自分の趣味をテーマに研究するならば、その人の数だけ掘り下げないといけない学問が存在します。そういう意味では、地理学は一生学び続けても飽きることのない学問であるととらえることもできます。

 

今回は、地理学の概要を私の経験をもとにざっくり解説していきました。

2022年に高校で地理総合の必修化、ウクライナ有事やイスラエルガザ地区侵攻といった国際問題の勃発など、世間的に地理学への関心が高まっています。

当ブログで、その魅力を発信できればなとという思いです。固い記事やゆるゆるな記事、様々な切り口で書いていきたいと思いますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。