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福岡と北九州は同じ都市圏なのか

みなさんこんにちは。今回は、永遠のテーマともいえるこのお題について考えていきたいと思います。どちらも日本を代表する都市のひとつですが、果たして同じ都市圏に属しているといえるのでしょうか。

X(Twitter)やYOUTUBEで福北都市圏の話が出ると、コメント欄がきれいに二分され面白いです。

資料を紐解きながら見ていきましょう。

両市の基本データです。1970年代までは北九州市のほうが人口が上でした。しかし基幹産業である製鉄業の衰退や九州の交通の玄関口が福岡に移ったことにより形勢逆転、100万人を超えていた北九州市ですが今や93万人にまで減少しています。このままのペースでいけば、90万人割れが確実です。一方で、都市高速がある、中心市街地から10キロ以上離れた副都心(黒崎)が存在するなど全国的にみても大きな都市であることには変わりないでしょう。毎年1月の成人式では、奇抜なファッションに身をまとった新成人で会場が盛り上がりニュースになっていますね。

一方の福岡市は支店経済都市として、学術都市として九州全土はもちろん全国からヒトを集めています。今や札幌市に次ぐ人口第5位の都市へと成長。今後は”脱支店経済都市”を掲げ、国内のみならず東アジアの拠点都市へとさらに進化していきます。

このような性格が相反する、大規模な都市がわずか70kmの距離にあるのは全国的に珍しく、京阪神と福北だけとなっています。首都圏は東京を主軸とした階層構造となっている都市圏なので外しました。次点で静岡・浜松都市圏が挙げられます。

 

本題に入っていきましょう。「福岡と北九州は同じ都市圏なのか」。

まず、70㎞という距離にメスを入れます。新幹線なら20分、特急で1時間かかります。毎日通勤するとなるとなかなかしんどいのではないでしょうか。しかし、会社の一部署内で一番の遠距離通勤者の顔を思い出すと、これくらいの距離だったりします。

大宮と横浜はぴったり60㎞離れていますし、三ノ宮~京都間は73㎞あります。日常の移動レベルに落とし込んでいくと”小旅行”と感じるかもしれませんが、こうしてみていくと同じ都市圏としても問題なさそうですよね。実際問題、福北間は新幹線やJR特急、高速バスの本数が充実していて、思う以上に双方を行き来するハードルは低いです。距離については十分に満たしているのではないでしょうか。また、両市間の南側に筑紫山地を控えているもののJR沿いは基本的に平坦であり、地理的障壁も少なくなっています。

続いて、通勤通学者の足がどちらに向いているのかを見ていきましょう。

 



北九州市から福岡市へ通勤通学者数は2020年のデータで9285人となっています。この数値は全体の通勤者数の約20%、広義の都市圏(1.5%都市圏)に相当するものとなっています。一方で、日産の工場がある福岡県苅田町(12.7%)や近隣の直方市(9.5%)にも流出しており、多方向に分散しているのが北九州市の特徴です。

この図では書かれていませんが、関門海峡を挟んだお隣山口県下関市の対北九州への流出は、全体の40%近くになり、下関にとってなくてはならない存在となっています。

 

一方の福岡市です。大野城や春日といった周辺のベッドタウンとの結び付きが強く、流入、流失ともに福岡近辺で完結しているのがわかります。その中でわずかながら北九州や久留米との結びつきを感じることができます。

この資料をみる限り、北九州は福岡を意識していて、福岡は衛星都市に目がいっているという印象を受けます。福北間の通勤流動については○よりの△といったところでしょうか。本数が多く、リーズナブルに乗れる特急ソニックでサラリーマンがバンバン移動しているというイメージの福北間ですが、まだ余力が残っているようにも思えます。

 

しかしながら、かたや人口減の工業都市、かたや人口右肩上がりの国際都市。うまく協調しろというのは難しいのかもしれません。今年9月にはマニラ発の飛行機が福岡空港の門限に間に合わずに引き返すという事態が起きたのですが、24時間運用の北九州空港に代替着陸できればなあとしみじみ思いました。両市合わせれば中京圏に次ぐ大きな都市圏になるのに、歴史的、文化的背景が乖離しすぎてタッグが組めないのは残念です。

まとめると、

地理的条件・・・〇

通勤流動・・・〇よりの△

行政文化面での連携・・・✕

ということで「ギリギリ違う都市圏」と当ブログでは位置づけたいと思います。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。今回かなり真面目なテーマだったので、次はゆるーい記事を書きたいと思います。。。