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青春18きっぷで行く余市の旅

皆様こんにちは。

今回は、青春18きっぷで行く北海道、余市の旅を紹介します。f:id:shidare225:20230731085648j:image

 

新千歳空港11:20着のフライトで降り立ち、混雑をかいくぐりながらJRのホームを目指します。

(この間に食料を調達するか、吉野家でさっと昼食を済ませます)

1面2線のホームには後発、12:06発快速エアポート小樽行きが止まっているので、そちらに乗り込んでいきます。f:id:shidare225:20230731085719j:image

2023年現在、新千歳空港と札幌、小樽を結ぶ快速エアポートロングシートタイプ(通勤型)とクロスシートタイプ(特急の車内に近い座性配置)の2種類の車両が充当されています。終着の小樽までは1時間を超える移動となるので、通勤型車両がくるリスクを考えて、有料の「U-シート」を予約することをお勧めします(新千歳空港駅みどりの窓口指定席券売機えきねっとから簡単に予約できます)。

後発のエアポートということで、多少ホームが混雑していてもほぼ確実に着席ができるかと思います。

列車は地下区間を抜けると南千歳に到着。特急を含め、全営業列車が停車する主要駅で、新千歳空港から道東、胆振、道南方面に行くためのターミナル駅となっています。

車窓に目をやると、本州では見ることのできない植生に「北海道に来たのだな」と実感させられます。千歳、恵庭、北広島と札幌のベッドタウンに停車し、通勤客や遊びに出かける若者を拾っていきます。この区間はドル箱路線で、JR北海道の生命線でもあります。

左手に開業したばかりのエスコンフィールドを眺め、上野幌(かみのっぽろ)の森林地帯を抜けると急に開けた市街地に入ります。ほどなくすると札幌の副都心、新札幌に到着。新しい病院が建設されるなどまだまだ伸びるエリアです。平和付近で函館本線と合流し、複々線となったかと思うと高架を上がり、北海道随一のターミナル札幌に到着。ここでほとんどの乗客が降りますが、入れ替わりで同じくらいの乗車があります。右手に北大、札幌競馬場を眺め、琴似、手稲と主要駅に停車。ここから次の駅までは区間が長く、だんだん密度が薄くなっていく市街地の先に美しい日本海の眺望が待っています。小樽築港、南小樽と止まっていき、少し疲れたなという頃に終着の小樽につきます。

大量の観光客の波に流されながらも、隣の番線で次の列車を待ちます。f:id:shidare225:20230731085748j:image

13:51発普通倶知安(くっちゃん)行きは、JR東日本と共同開発した新型車両が充てられ、座席も首都圏の近郊電車と同じタイプが使用されています。そこそこのお客さんを乗せ、塩谷、蘭島と山登り。目的地の余市の手前で視界が開け、右手に再び日本海を発見したのですが、余市が山の中あると勝手に思いこんでいた私にとって、意外な光景でした。実際に旅を進めていると、こうした勝手な思い込みが簡単に打ち砕かれるので面白いです。YouTubeでいくら予習しようとも、己の手、鼻、耳、口、目を動かして得た体験には決して適わないのです。

いくら北海道といえど、7月下旬ともなると内地と変わらない暑さになります。f:id:shidare225:20230731085838j:image

駅を降りるとお目当てのニッカウヰスキー余市蒸溜所が見えているのですが、正面から入れるのは、事前に見学ツアーに申し込んだ人に限られます。ミュージアム見学や有料試飲をする人は、裏手まで回らなければなりません。10分ほど汗だくになりながら歩いていると、大きな看板が見えてきました。f:id:shidare225:20230731085813j:image「飲酒運転と20歳未満の飲酒は法律で禁じられています」。「ここが酒カスの聖地か!」(違う)。はるばる東京からきた私を温かく迎えてくれているような錯覚に陥りました。

ミュージアムに入ると、奥のほうにお目当ての試飲コーナーが。早速列に並び、「シングルモルト 余市10年」をオーダーしました。ハイボール自体は大好きなのですが、ロックでいただくのは今回が初めて。緊張の面持ちで口に含んでみました。f:id:shidare225:20230731085932j:imageカーっと喉が焼ける感覚の後に、糖化(?)による甘味を感じました。大人の階段を一段上った気分です。何度もチェイサーを口に含み、なんとか試飲を終え少しほっとしました。2杯目を頼む余裕はなかったです。f:id:shidare225:20230731085952j:image

試飲の次はマッサンこと竹鶴政孝の足跡をたどるブースへ移動。私は大学のゼミの巡検(現地調査のこと。当時は都市地理学を専攻していました。)で、マッサンの生まれ故郷である広島県竹原市を事前に訪れています。酒蔵である竹鶴酒造の息子として生まれ、洋酒製造を国産化するためにスコットランドに留学し、現地の外国人と結婚。スコットランドと風土が似ているここ余市に蒸溜所を作ったと記憶しています。詳しい展示内容はここでは紹介しませんが、建設に至るまでの苦悩が鮮明に描写されていました。竹原で得た知識が、遠く離れたここ余市で線になって繋がり、ようやく全体像が見えてきてなんだか嬉しかったです。

列車の時間の関係で、ミュージアムを含め90分ほどの滞在でしたが非常に意義のある旅となりました。ご存じの方が多いかと思いますが、JR函館本線のいわゆる「山線」区間長万部~小樽間)は、2030年度末に開業する北海道新幹線にその役割を引き継ぎ廃止されます。小樽~余市間の利用客が多いこと、道庁が検証をきちんとせずゴリ押しで廃止を決めた事、バス転換先のバス会社の従業員不足など廃止が覆る材料はありますが、現状では線路が途絶える予定となっています。なので、タイミングがあえばぜひ廃線前に余市を訪れてみてください。札幌から日帰りでいける距離なので、札幌、小樽旅行に組み込むのもいいでしょう。

 

最後にかかった運賃ですが、東京~空港第2ビル 1340円

              新千歳空港余市 2440円

               余市~札幌   1290円

合計5070円でした!一日で切符の総額の半分近く消費したことになります。

 

※この日ハイシーズンだったため札幌のホテルは軒並み2万円近くに高騰し、やむなく滝川(札幌~旭川の間くらい)のビジネスホテルに泊まりました、、。

 

                  終