いきなり奇抜なタイトルになったことをお許しください。
「日本を代表するおしゃれな街神戸が凋落なわけがない」と誰しもが思うでしょう。
一つ一つ丁寧にお話していくので、是非冷静な視点で読んでいただければ幸いです。
まずは神戸市のプロフィール、概要を見ていきましょう。
人口・・・149万9880人(2023年10月1日現在。神戸市HPより)
面積・・・557㎦
行政区数・・・9区
交通網・・・山陽新幹線、JR神戸線、阪神電鉄、阪急電鉄、阪神高速、中国道
主な観光地・・・北野異人館、ハーバーランド、有馬温泉、六甲山、王子動物園
京阪神の一角で関西はもちろん、全国的に知名度の高い都市であることは言うまでもないでしょう。東の横浜と並んで開港より異国文化を受け入れてきました。主要企業名をみてわかる通り、製鋼、造船で栄えた一面もあります。屈指の港湾都市であるだけに、豪華客船の出発地、寄港地をイメージする方も多いかと思います。他にも、高級住宅地街が形成されていたり、モダンな洋風建築が多く現存したりと、多くの人を魅了してきました。
1995年には都市直下型地震である阪神淡路大震災を経験し甚大な被害を被りましたが、不死鳥のように再生し、現在に至ります。そんな神戸市がなぜ凋落なのでしょうか。頭には依然として?マークが残ります。
解説していきます。
①人口が初の150万人割れ
この10月で人口150万人の大台から転落しました。原因はいくつかありますが、大きいのが隣の明石市の市政。明石市は大阪から約50km離れたベッドタウンで市域に日本の標準時(東経135°)が走っていることで有名です。
ここの泉元市長が抜本的な子育て支援、教育支援策を打ち出し、所得制限なしで「医療費・給食費・保育料・公共施設・おむつ」の無償化を施行しニュースとなりました。そのこともあって子育て世代が流入し、人口30万人突破、合計特殊出生率(女性が生涯に産むこどもの数の平均)1.7を達成しました。この層の中には、よりよい子育て環境を求めて移り住んだ神戸市民も多く含まれます。
また、明石はJRの速達列車新快速で大阪まで37分という好立地で、神戸市山間部に住む通勤層がこぞって移住したという背景もあります。
そのほかに、純粋に人口の自然増(出生数ー死亡数)がマイナスに転じた、大阪や東京に流出したなどが挙げられます。
(神戸市人口増減の内訳 神戸市HPより引用)
②重工業の衰退、港湾都市としての地位低下
日本を代表する港町である神戸。先述の通り、客船の寄港地や地の利を生かした(≒穏やかで水深が深い瀬戸内海に面した地形)造船や製鋼で栄えた歴史があります。しかし、重工業における日本の地位は東アジアの諸地域に後塵を拝しているのが現実で、韓国の釜山や台湾の高雄にその座を譲っています。
(余談ですが、造船所を埋め立て、第三次産業や観光にシフトし開発されたみなとみらいは先見の明があったとつくづく思います)
③西日本最大都市大阪の著しい都心再開発
旧梅田貨物駅が広がっていたJR大阪駅北側の再開発事業が現在も行われています(通称うめきた)。JR京都駅しかり大阪ステーションシティしかり関西は空間を大胆に使った再開発が得意です。今回も、梅田の一等地に広大な芝生の広場を使うなど新たな魅力が創出されることが期待されます。中には自室にガラス張りのガレージを用意したタワーマンションも建設中で話題性に欠くことがないです。こうした梅田エリアに富裕層が流出しているのが現実です。三ノ宮エリアも震災前の阪急ビルを復活させ話題を呼びましたが、もう一声欲しいところです。
④郊外のニュータウンの過疎化、高齢化
西神(せいしん)ニュータウンや須磨ニュータウンといった名だたるニュータウンが立地する神戸市。しかしながら、共働きの子育て世代にとっては大阪への便の悪さがあだとなっており敬遠されています。他にも建物の老朽化、それに伴う人口流出、高齢者の一人暮らしが増加するなど日本のニュータウン問題の縮図が神戸で起きているのです。加えて、神戸の場合その多くが丘陵地帯、傾斜部に立地するため、住みづらさに拍車がかかっています。
しかしながら、須磨ニュータウン内の名谷(みょうだに)は大丸百貨店内に公立図書館を誘致するなど郊外で完結する新たなライフスタイルを提案し注目を浴びています。コロナ禍テレワークが浸透した現在、私も名谷のこれからに目が離せません。
※神戸市公式NOTEより引用
⑤商業施設が物足りない、古い
これは私が実際に歩いてみて思った感想です。
モトコー(元町高架下商店街)やサンチカ(アーケード街)が繁華街として有名ですが目新しさがなく、今の高校生には少し物足りないのではないかと思いました。神戸モザイクも行きましたが、入っているテナントも惹かれるものはなかったです。(大丸神戸店は存在感がありました。若者よりも大人が楽しめる街という印象を受けました。)
一方で先述の三宮阪急ビルや神戸阪急のリニューアルと再開発が立て続けに行われているので、新たににぎわいが創出されるのが楽しみです。
コラム・・・神戸市は、三宮エリアの新規のタワーマンションの建設を事実上禁止し、商業集積を強化することで神戸ブランドの復興につなげる方針です。職住近接を進める大阪市と対照的で非常に興味深いです。
少々批判的な記事になってしまいました。私の地元である横浜とともに、日本を代表する港町である神戸を応援したいというのが本音ですし、蔑む意図は全くありません。むしろ上品さに至っては神戸(芦屋などの阪神間も含む)の右に出る都市はないと思いますし、夫婦で移住を考えたことがあるくらい大好きな街です。個人的には三宮地区の魅力向上と、郊外ニュータウンの居住性アップがカギになるとにらんでいます。三宮は若者世代を意識した商業施設の開業、郊外は名谷のように、都心に行かずとも完結するライフスタイル(公共施設、買い物施設の拡充)作り。
関西の、京阪神間で相互に都市機能を補完しあっている(≒一極集中ではない)感じが大好きなので、今後の神戸の動向に注視していきたいと思います。
最後に
30分で本格的な温泉地、有馬にいける神戸がうらやまC
終
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