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サンダーバード最後の北陸路 金沢と京都を巡る旅 後編

皆さんこんにちは。

前編に続き、金沢・京都を同時に巡る旅の様子をお届けします。

 

1.山代温泉

ホテルで少し寝た後、再び町へ繰り出してゆきます。雨は引き続き残っていたようで、自転車はやめ、バス停まで歩きます。

 

新潟に次ぎ、日本海側2番目の都市とよく言われる金沢。駅前、武蔵ノ辻、香林坊、片町と4つの都心があり、連続しているように見えてなんとなく棲み分けされているのが好きです。

それぞれ、交通の帰結点、観光(近江町市場)、中心街・ビジネス街、若者の街・歓楽街のイメージです。

土日祝のみ100円で乗れる循環バスが走っているのですが、観光客ですし詰め。

片町から15分ほどで金沢駅前に戻ってきました。

サンダーバードは明日乗るのですが、せっかくなので同じ路線を走る名古屋行き「しらさぎ」に乗車。列車予約アプリ「WESTER」(e5489≒いいご予約)で特急券を購入したのですが、任意のパスワードを設定できないなど、使い慣れていないと結構難しいです。f:id:shidare225:20240324191930j:image

さすが国内最速級の特急なだけあって、爆速で飛ばしていきます(それゆえ、乗り心地は悪い)。あっという間に加賀温泉に到着。

2週間後の新幹線開業を目前に控え、構内はほとんど仮設仕様。階段を上り下りして改札へ。すぐの接続でバスに乗り込みます。

実は、「加賀温泉」という温泉は存在せず、近辺の山中・山代・片山津温泉の最寄りという事で分かりやすくこの駅名となっています。私も直近までそれを知らず「加賀温泉行きたいな」とぼやいていたので、今思い出すと恥ずかしいです(笑)隣駅の動橋(いぶりはし)や大聖寺(だいしょうじ)も各温泉の玄関口だった時代がありましたが、現在ではその役目を加賀温泉に譲っています。北陸新幹線延伸開業で、いよいよ東京から1本でアクセスできるようになりますね。すごい。

小雨の降る中、雰囲気のある温泉街に到着。

山代温泉のシンボルである、古総湯へ入っていきます。

yamashiro-spa.or.jp

ここはシンプルに脱衣所と湯舟しかなく、シャンプーやボディソープはもちろん、カランやシャワーすらないので注意が必要です。せいぜいかけ湯で体を流すくらいなので、極力宿泊するホテルで事前にシャワーを浴びとくと良いです。

中の写真は撮れませんでしたが、石川を象徴するような、木造建築にステンドグラス

が映える光景が美しく、このためだけに来てよかったと思えました。扉を開けたらいきなり脱衣所と湯舟があるので少々とまどいましたが、気さくな番頭さんが親切に教えてくれるので、心配はいりません。

2.夜の金沢

帰りはうまく接続がとれず、普通列車で50分ほどかけて金沢に戻ります。

小松で後続のサンダーバードと接続したのですが、12両ある編成の窓側のほとんどが埋まる乗車率でした。改めて、北陸線特急の需要の高さを実感すると同時に、新幹線で需要を拾いきれるのか心配になります。

金沢駅前商業施設「FORUS」に入る「もりもり寿司」へ。

tabelog.com

金沢に来たら必ず訪れる、人気の回転寿司です。日曜の夜7時で、東京に帰る観光客はもういないと踏んでいましたが、想像を超える待機列が。結構クタクタでしたが引き下がるわけにもいかず、結果1時間ぐらい待ちました。あと30分遅かったら受付終了だったので、一本早いバスで山代温泉を出発しておいてよかったです。

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待ちに待ったのどぐろ。ひとしお美味しく感じます。濃厚でクリーミーな味わいを求めて、何度でも金沢にきてしまいますね。インバウンド需要が増えていることもあり、5年前より単価が上がりましたが、満腹で幸せなのでOKです。

店を出るころには21時近かったですが、もう一か所だけ寄ります。

雨が上がっていたのでまた自転車を借り、かの有名な「ひがし茶屋街」へ。f:id:shidare225:20240324084155j:image

日中はかなりの人出ですが、夜間は誰もいません。観光施設や飲食店は当然やっていませんが、昼間とは違う雰囲気の景色を楽しめるので個人的には夜がおススメです。

自転車のサドルを三脚代わりにしてなんとか1枚撮れました。f:id:shidare225:20240324083808j:image

居住者の邪魔にならないよう、あまり長居せずにホテルへ戻ります。

3.いよいよサンダーバード乗車

翌日。

5時半に起き、併設のジムで軽くランニング。

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最高の一日のスタート・・・と言いたいところですが、アラサーの体はだんだん無理が利かなくなってきており、なんともいえない倦怠感に襲われます。8時台の再速達サンダーバード(福井、京都、新大阪のみ停車)の指定を受けていましたが、もう少し休みたかったので10:56発に差し替えました。この先30代の旅行はとにかく「無理をしない」事が最優先事項になりそうです。

特に観光の予定も入れず、ホテルでだらだら過ごします。どちらかというと滞在型のホテルなので、ラウンジでボケーとしたり、加賀棒茶を淹れながらYOUTUBEをみたりと思い思いにくつろげたのが良かったです。f:id:shidare225:20240324084035j:image

いよいよ金沢を発ちます。

車内で食べるパンを買ってたら意外といい時間に。

www.german.co.jp

ホーム上は、最期の時を惜しむギャラリー、写真を撮る人、何も知らずに普通に乗り込む人など三者三様でした。

座席に座ると外の音はあまり聞こえてこず、定刻通りにゆっくりと滑り出します。f:id:shidare225:20240324192008j:image

ラストランが近づいていますが、時間帯のせいか指定席は意外と空席が目立ちます。午前11時台、関西方面よりかは近場の福井への需要が大きいのでしょうか、自由席混雑の案内がありました。

途中駅をぶっ飛ばしていきます。「(中略)3/15をもちまして、サンダーバード号は敦賀より先、金沢までの運行を終了し、北陸新幹線にバトンタッチを渡します。これまでの皆様のご愛好に心から感謝申し上げます。あとわずかとなりましたが、金沢と大阪を結ぶ、特急サンダーバード号でのひと時をお楽しみください。」と車掌からの挨拶が。

最初で最後の通しでの乗車ですが、存分に満喫したいと思います。

私が乗ったサンダーバード18号は小松通過、加賀温泉停車という千鳥停車(停車駅を分散し、混雑を緩和する)タイプでちょっと珍しいです。その後、芦原(あわら)温泉、福井、武生(たけふ)、敦賀(つるが)、京都、新大阪、大阪と停車。

基本的に北陸3県の県境越えは峠で、県庁所在地→地域の拠点都市→トンネルで山越えを繰り返すイメージです。白山系統の山々の景観をしばらく眺めたあと、牛ノ谷峠を抜け、石川県から福井県に入ります。

芦原温泉~武生間はえちぜん鉄道とほぼ並走。スピード差が大きすぎるので競合することはないです。駅間が短いえちぜん鉄道の方は、地域と福井市内中心部の輸送に特化していて、上手く棲み分けられていると思います。九頭竜(くずりゅう)川を渡り、高架を上がると福井に到着です。

人口約25万、県庁所在地としてはやや少ない部類に入りますが、高架から見下ろす街並みは十分に都会感がありました。関西圏からの出張需要も大きそう。新幹線開業で、金沢、高岡、富山といった北陸諸都市の結びつきが増しそうで期待が高まります。

福井県は東京に住んでいると馴染みが少ない県で、私も敦賀しか行ったことがありません。永平寺東尋坊一乗谷イカした観光地が多いので、いつかはちゃんと行ってみたいものです。

武生まではなんとなく福井の延長という感じで、住宅地が続きます。

千鳥停車パターンの18号は県内主要駅、鯖江を通過。メガネのフレーム生産数が全国トップシェアであることで有名です。駅通過前に、高級メガネ店の金子眼鏡(がんきょう)の建物を見つけ、一人テンション上がりました。

サンダーバード縮小で一番割を食うのが鯖江ではないかと個人的には思っていて、メガネ関連の商談でめちゃくちゃ出張需要が多いだけに、サラリーマン相手の飲み屋やビジネスホテルの存続が心配になります。

そうこうしているとまた県境越えに差し掛かります。福井県内最後の駅である南今庄を通過すると、長大で有名な北陸トンネルへ。

全長約13キロ。関西から北陸への速達化に大きく貢献した一方、悲惨な火災事故が起きたことで知られています。

北陸トンネルに入った瞬間は静かすぎてわかりませんでしたが、次第にゴーゴーという音と前後に揺さぶられる感覚で確信を持ちました。めちゃくちゃぶっ飛ばしています。

トンネル出口間際で「北陸ロマン」が流れると、北陸の出口、敦賀へ到着です。

2年前に敦賀から姫路まで新快速を乗り通すために来たので、来るのは2回目になります。前回工事中だった、新幹線ホームが入る「要塞」が完成していました。

www.chunichi.co.jp

高さにして37m、ビル11階に相当する新駅。地上に特急専用ホーム、コンコースを経てスムーズに上階の新幹線に乗り換えられる仕組みになっています。コンコース内にあるお土産屋さんに寄っていると列車に乗り遅れる「乗り換えトラップ」があるとかないとか、、。

関西の入口、敦賀を出ると列車はループ線に入っていきます。

これですね。トンネルを作る技術力の無い頃の鉄道での山越えは、距離を稼いで登ってゆくスイッチバック(ジグザグ方式)や図のようなループ線が多く採用されています。

秘境駅新疋田(しんひきた)を超え、列車はいよいよ滋賀県へ。

f:id:shidare225:20240323155719j:image塩津浜」が見えてきました。琵琶湖です。冗談抜きで「海なんかあったっけ?」と錯覚しました。湖西線内は全て高架で、高い位置から永遠と琵琶湖を眺める事となります。個人的には1番退屈な区間(それでもグランピング施設をみつけ、もし関西に住んだら琵琶湖でどうやって遊ぶか考えるとワクワクします)で、気が付けば眠りに入ってしまいます。

目が覚め、気が付いたら朝夕一部のサンダーバードが停車する堅田を通過するところ。

琵琶湖大橋も過ぎ、この辺から一気に都会感が出てきます。

西大津大津京を過ぎると京都はすぐそこなので、荷支度をはじめます。

ほどなくして北陸ロマンが流れ、分岐器を渡り、到着。f:id:shidare225:20240324192038j:image

4.京都で家族と合流

乗客の半分くらいは降りたでしょうか、いつも京都に来るときは新幹線なのでなんだか新鮮な気分です。

このあと家族と合流するのですが、架線に飛来物がかかった影響で新幹線が大幅に遅延しており、暇つぶしに新快速に乗って遊んでました。

無事合流し、大徳寺の一般公開を見に行きます。

地下鉄で京都駅から7駅、北大路へ。受付終了時刻が16時なのに、駅到着が15時40分というピンチ。個人タクシーさんにお世話になり急ぎます(何とか間に合いました)。f:id:shidare225:20240324084302j:image

京都有数の敷地面積を誇る大徳寺。通常は公開していない本坊の天井画、「雲龍」を拝むことができました。

京都・大徳寺本坊:国宝の唐門や狩野探幽の天井画を特別公開 | nippon.comより引用

石庭がどうしても見たい私の希望で、境内瑞峯院の庭園も見学しました。

仕事に脂が乗り始めて(?)せわしない日々を送るアラサーにとって、波のさざなみや線香の煙、静寂な石庭をただ眺めているだけで癒されます。夕刻という事もあって、拙い表現で恐縮ですが「エモ」かったです。石庭を見るだけに京都に来る価値がありますね。f:id:shidare225:20240324084404j:image

残念なことに私だけ翌日仕事。駅前に移動し、最後の晩餐を楽しんでいきます。

駅構内、京都劇場目の前「京やさい料理 接方来」。

tabelog.com

季節のてんぷら、九条ねぎ釜揚げしらすのピザ、なすの揚げ出しなど頂きました。f:id:shidare225:20240324084422j:image

京都駅直結で半個室の高級感ある店内ながら、予算は一人3000円程度とかなり使い勝手が良いです。遠方同士の両家顔合わせなんかに最適なのではと思います。

ホテルに向かう家族と解散し、私だけ新幹線ホームに向かいます。悲しいい。

19:30発、のぞみ248号に乗車。新大阪始発ですが、それなりに混んでいます。ぽつぽつと通り過ぎる民家の灯りをぼんやり眺めながら虚無の帰宅です。

5.まとめ

今回、区間を工夫して激安で京都と金沢を巡る旅を楽しんできました。

幼少期から慣れ親しんだ名門特急「サンダーバード」が敦賀止まりになるという事で、最期の北陸路を楽しめたのも良かったです。かつて、深夜急行「きたぐに」「能登」や「北越」「はくたか」「白鳥」など名列車が駆け抜けた北陸本線に別れを告げつつ、新幹線によって身近になった福井へ思いを馳せるきっかけにもなりました。

今回前編後編合わせてかなり長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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それでは!